研究課題
外部磁界を印加することなくフェムト秒オーダーの円偏光パルスを垂直磁気異方性を示す媒体に照射することで、THzオーダーの速度で記録可能な光誘起磁化反転現象を利用した磁気記録手法の高密度化を目標とし、表面プラズモンを利用した局所円偏光生成の検討を行っている。表面プラズモンアンテナへの効率的光エネルギーの伝搬方法として、Finite-Difference Time-Domain (FDTD) 法を用いて、誘電体導波路と表面プラズモンエネルギー伝搬とを組み合わせた光伝搬手法に取り組み、エネルギー利用効率を増加する光学系の構成があることを見いだした。特に、十字型開口の金属シートと金属粒子の組み合わせで効果的かつ局所的に円偏向を生成できる。この構成を発展し、更に効率的なエネルギー伝搬を実現する手法として、表面プラズモンポラリトンを使った光学系構成を研究し、表面プラズモンポラリトンを伝搬する金属シート先端に特殊な突起構造を形成することでも局所的に円偏光を生成できることを見いだした。また、電磁界と熱伝導シミュレーション解析、アンテナ構造設計と電子ビーム露光により、磁気記録記録媒体上に表面プラズモンアンテナを試作し、フェムト秒レーザによる記録の一連の実験を行い、近接場光を用いた世界初のフェムト秒レーザによる熱アシスト磁気記録実証実験に成功した。この実験より166 nm×120 nmの記録マークを実現した。これらの研究は、円偏向を局所的に生成する光源として用いる事も可能で有り、磁気記録以外の用途にも発展可能であり、カイラリティを有する有機分子や、円偏向に敏感な物性を、ナノメートルサイズで局所的に解析する手法としても期待でき、今後の応用分野が広い。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、シミュレーションによる解析だけでなく、実験的に微細構造アンテナを作製し、さらにフェムト秒レーザでの記録実験まで行う事が非常に重要であった。これらの電磁界解析、電子ビーム露光による微細構造作製、光学実験の全てを独立に動作でき、総合的な基礎的動作実験も確認できた。これにより、最終年度に予定しているフェムト秒での熱アシスト磁気記録の実証実験が実現できる見通しである。
高密度化に向けた微小磁区形成のため、前年度までの表面プラズモンアンテナの検討を継続し、そのフェムト秒応答について検討を重ねる。光利用効率向上のための表面プラズモンポラリトンを活用した導波路構造について継続して検討する。
該当無し.
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