研究課題/領域番号 |
23560415
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
柴山 純 法政大学, 理工学部, 准教授 (40318605)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | FDTD法 / LOD-FDTD法 / 周波数依存性媒質 / プラズモニクス / 光導波路 |
研究概要 |
本研究の目的は、3次元(3D)の微小プラズモン導波路デバイスを極めて高速に解析できる、局所的一次元(LOD)法に基づく陰的な有限差分時間領域(FDTD)法を開発することである。 本年度では、周波数依存型3D-LOD-FDTD法の定式化とプログラミングを行った。分散媒質を評価する技法に台形則に基づく帰納的手法と、簡素な定式化が可能な2段階のLOD法を採用した。波長に比べ大きなプラズモンデバイスを解析するために、ワークステーションの立ち上げも行った。ギャッププラズモン導波路におけるパルスの伝搬解析を通して、3D-LOD-FDTD法の性能評価を行った。結果として、時間刻み幅に対して無条件安定な3D-LOD-FDTD法を確立することができた。従来の伝統的な陽的FDTD法に比べ、精度を損なうことなく計算時間は約半分に抑えられた。応用例として、プラズモングレーティングのバンドギャップの内と外の電磁波の伝搬を可視化した。さらなる計算効率の向上を目指し、非分散媒質解析用のLOD-FDTD法のために提案されたFundamental法を2次元(2D)の周波数依存LOD-FDTD法に導入した。 以上の成果は、論文(IEEE Photonics Technology Letters)として公表した。さらに, 国際会議(11th International Conference on Numerical Simulation of Optoelectronic Devices)や、電子情報通信学会でも報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的は3D-LOD-FDTD法の確立である。プラズモンデバイスの解析では、従来陽的なFDTD法が用いられていた。しかし、実際の計算では空間の刻み幅を小さく選ぶ必要があり、時間刻み幅も極めて小さく選ばざるを得なかった。結果として、3次元のデバイス解析では、計算の長時間化が避けられなかった。時間刻み幅を大きく選べる、3D-LOD-FDTD法の確立が急務であった。 まず、3D-LOD-FDTD法の定式化を行った。その際、2D-LOD-FDTD法で用いた計算ステップを分割しない簡素な方法は3D-LOD-FDTD法に適用できないことを突き止めた。結果として、3D-LOD-FDTD法では計算ステップを厳密に2段階に分割し、周波数分散性を取り込む必要のあることを見出した。厳密な定式化に基づきプログラミングをPC上で行いつつ、その動作確認を小さなデバイス解析で行った。さらに、PCでは取り扱えない大きなデバイス解析のためにWSを立ち上げた。WS上でプログラムを実行させ、3D-LOD-FDTD法の性能評価を行った。結果として、無条件安定な3D-LOD-FDTD法を確立できた。得られた結果は国内外の会議で逐次報告した。さらに、速報誌に成果を公表した。 以上のように、当初の実施計画通り研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度で3D-LOD-FDTD法の開発が済んだが、さらに計算効率を向上できる目途が得られた。これは最近報告されたFundamental法を活用することで可能である。そこで、今年度の前半は、Fundamental法に基づく3D-LOD-FDTD法の開発を行う。これまで、2次元問題での予備検討が済んでおり、3次元問題への拡張を優先する。Fundamental法に基づく3D-LOD-FDTD法が確立され次第、速報誌への投稿、会議での発表を行う。プログラミング、会議での報告は研究協力者にも参加してもらう。電子情報通信学会(ソサイエティー大会、総合大会)、Asia Pacific Microwave Conferenceへの参加を予定している。 引き続いて今年度の後半では、開発した3D-LOD-FDTD法を用いて種々のプラズモンデバイスを設計する。特に、プラズモングレーティングフィルタのサイドローブ抑止、プラズモン微少共振器の共振波長の可変特性に関する研究を行う。得られた結果は逐次、会議、論文等で発表していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
成果発表を積極的に行うために学会発表のための予算を計上している。研究に協力した大学院生とともに参加するので前年度と予算に差が出ている。中間報告を論文誌に投稿するための学会誌投稿料も計上している。協力者への謝金も計上している。
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