【研究目的・方法】近年フレキシブル直流駆動有機薄膜EL(有機発光ダイオード;OLED)の研究開発が注目され、フレキシブルOLED ディスプレイやランプ開発に関する多くの報告がある。しかしながら、プラスチック基板を始めとした有機材料を使用するフレキシブルELは、製造プロセスでの熱処理や使用環境において100~200℃以上を経験することは極めて困難であり、安定性や寿命の問題を解決しなければならない。本研究では、これらの問題点を解決できる可能性のある有機材料を全く使用しない新規な高耐熱フレキシブル無機薄膜ELデバイスの実現をゴールとして、最終年度である本年度は、前年度までに確立した、ジルコニア系セラミックス上への、透明導電膜、Zn2Si1-xGexO4:Mn 蛍光体薄膜発光層及び酸化アルミニウム-酸化イットリウム-酸化チタン系複合絶縁層薄膜作製技術をベースとして、本年度は、極薄ガラスシートを基板材料として採用するシースルーフレキシブル酸化物蛍光体薄膜ELデバイスの開発を行った。 【研究成果】①各種酸化物蛍光体薄膜を極薄ガラスシート上に積層する成膜技術を確立した。第二段階としては上記で確立した成膜技術をベースとして、極薄ガラスシート上への形成に最も適合する新規な蛍光体母体材料及び発光中心材料を開発した。 ②極薄ガラスシート上に形成した酸化物蛍光体薄膜発光層を各種雰囲気下で約650℃以下での熱処理で発光特性を十分に改善するため、熱処理時間や、昇温及び降温レート等の熱処理プロセスの極薄ガラスシートへの適合化を実施した。 ③ジルコニア系セラミックス及び極薄ガラスシートをそれぞれ基板材料として作製したセラミックスフレキシブル薄膜EL デバイス及びシースルー薄膜EL デバイスに対して、各種雰囲気中での耐熱試験を実施し、本デバイスの耐熱安定性を評価した結果、周囲温度200℃において、極めて高い安定性を実現できた。
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