研究課題/領域番号 |
23560420
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
中條 渉 名城大学, 理工学部, 教授 (40292289)
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キーワード | マイクロ波 / ミリ波 / テラヘルツ |
研究概要 |
本研究では,複数のビート光を用いて300 GHz以上のテラヘルツ帯で高出力の連続波を発生するテラヘルツ帯連続波電力合成技術の開発を目指している。半導体レーザの波長を制御して個々のテラヘルツ帯連続波を独立に位相制御する技術が実現すれば,広い帯域にわ たってテラヘルツ波の高出力化ができるだけでなく,テラヘルツ波光源のアレーとして位相制御することで、テラヘルツ波のビーム走査を行うことが可能となる。 2012年度は複数の半導体レーザと複数の光ファイバを用いて,ビート光として得られたマイクロ波・ミリ波の電力合成技術の開発を行った。異なる波長の半導体レーザ2個と単一モード光ファイバとフォトダイオードを1組として,生成するビート光を電力合成できるように2組の実験装置を整備した。必要となる遅延時間の精度は30 GHzで1ピコ秒程度であり,半導体レーザの波長を個別に微調整することで遅延誤差の補正を行った。フォトダイオード出力として得られた個々のマイクロ波・ミリ波連続信号と,個々のマイクロ波・ミリ波出力を電力合成して受信した信号を比較することで,電力合成技術の性能を評価した。複数の半導体レーザと複数の光ファイバを用いて異なるビート光として得られたマイクロ波・ミリ波の電力合成技術について,得られた成果を取りまとめ,電子情報通信学会総合大会で成果発表を行った。また応用として2素子の光制御アレーを用いた地上ディジタル放送波の一括合成実験を行った。受信強度と受信C/Nを測定し,473~533MHzの7チャンネルを1dB以内で一括合成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異なる波長の半導体レーザ2個と単一モード光ファイバとフォトダイオードを1組として,生成するビート光を電力合成できるように2組の実験装置を整備した。これを用いてLD波長制御のみを利用した20GHz連続波の位相合成実験を行い,ショットキーバリアダイオード検波器を用いて位相合成特性を評価した。LD波長によって合成した20GHz連続波の位相を制御し,LD波長と遅延時間差から連続波の周波数を正確に求めることで,20GHz連続波の位相合成を実現した。また応用として2素子の光制御アレーを用いた地上ディジタル放送波の一括合成実験を行い,473~533MHzの7チャンネルを1dB以内で一括合成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目に得られた性能をフィードバックし,75~110GHzのW帯での空間電力合成技術の開発を試みる。75~100GHzの信号の位相を測定するために,空間合成されたW帯連続波をショットキーバリアダイオードで検出し,得られた電力を合成しない場合と比較することでW帯連続波の電力合成を実証する。複数の半導体レーザと複数の光ファイバを用いて異なるビート光として得られたW帯の電力合成技術について,得られた成果を取りまとめ,電子情報通信学会ソサイエティ大会および総合大会で成果発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
75~100GHzのW帯連続波をビート光により合成できるフォトダイオードを1~2個購入する。これを用いて得られる複数のビート光を光ファイバ増幅器により増幅し,光ファイバの波長分散を用いてコヒーレントに位相合成してW帯で電力合成実験を行う。W帯の導波管コンポーネントとW帯ショットキーバリアダイオードを購入し,合成されたW帯連続波の電力計測を行う。 国内旅費については,2013年9月に開催される電子情報通信学会ソサイエティ大会(開催地:福岡工業大学)および2014年3月に開催される電子情報通信学会総合大会(開催地:新潟大学)での成果発表に充てる。
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