研究課題
2013年度は、前年度未完成であったしきい値を検知するためのスピードセンサの開発を重点的に行った。p型MOSFETとn型MOSFETのサイズ比を変化させた3種類のリングオシレータに対して、サイズ比や電源電圧などの条件を様々に変化させてシミュレーションを行うことにより、しきい値電圧に対する動作周波数が完全に1対1対応となる条件を見出した。続いて、測定した動作周波数から2次関数への近似を用いてしきい値電圧を逆算する方法を開発し、リングオシレータの動作周波数から容易にしきい値電圧を検知する手法を確立した。さらに検知精度の向上にも取り組み、±5mVの高精度なしきい値の検知を可能とした。これと並行して、電源電圧を制御するための電源回路の検討を行い、電圧を連続的に変化させることのできるカレントミラー型の電圧変換器を採用した。昨年度設計したSRAM全体回路に対して、ワード線の電源、メモリセルの電源、メモリセルのGNDのそれぞれに、この電圧変換器を組み込んで最終的なSRAM回路を完成させた。最後に、SRAM全体をシミュレーションで動作させ、各電源回路をコントロールして最適電圧を与えることにより、通常の電圧条件では動作不可能であったSRAMが動作可能となることを確認した。以上のように、2011年度から2012年度までに明らかにしたしきい値電圧の仕上がりに対するSRAMの最適電圧の対応関係、および2013年度に確立したスピードセンサによるしきい値の仕上がり値の検知方法を組み合わせることにより、しきい値のばらつきに応じて電圧をコントロールすることによって従来動作不良となっていたSRAMの動作安定性を改善し、動作させることが可能となり、本研究の目的が達成された。本研究成果を用いることによって、SRAMの動作歩留まりを大幅に改善することができる。
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Journal of Circuits, Systems, and Computers
巻: Volume 23, No. 3 ページ: pp.1450039/1-21
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IEEE Transactions on Very Large Scale Integration (VLSI) Systems
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