研究概要 |
ガラス球(2~20μm)をポリエチレンPEおよびポリ塩化ビニルPVCで除去する静電清浄化試験を行った。 PEとPVCをシリコン電極Siで挟んで高電圧を印加すると、PEとSiには静電吸着力のみが発生するが、PVCの場合は静電吸着力に加えて化学的な吸着力(水素結合と推測)が発生し、PEに比較してPVCの付着力が大きいことを、前年度までの研究で明らかにした。これを踏まえて、PEとPVCのフィルムに微粒子を付着させて除去する研究を実施した。微粒子サイズが2~20μmと微細化しても、フィルムと微粒子が直接接触すれば、シリコン表面に付着している微粒子が除去できることを確認した。5回程度の除去操作を繰り返すことで約80%以上の除去率が得られた。PE、PVCとSiとの付着力の違いが微粒子の除去率に及ぼす影響を、5回の繰り返し除去操作で80%以上の除去率が得られる印加電圧で比較すると、PEでは1,500V、PVCでは500Vとなった。印加電圧が低くても高い除去効率が得られるので、PVCは除去用フィルムとして適している。 一方、PVCによる微粒子除去を繰り返す過程で、それまで観察されなかった1μm以下の微粒子が突然現れる現象が発生した。その原因を調べたところ、PVCフィルム表面には微細な異物が多数付着しており、それがSi電極に再付着したことがわかった。除去用フィルムの清浄度を確保することが1μm以下の微粒子除去では必須であることがわかった。また、一旦付着した1μm以下の異物はその後の除去操作でも除去しにくく、1μm以下の微粒子除去にはさらなる工夫が必要であることもわかった。なお、PEには異物の付着が認められなかった。 本研究の成果は、真空に関する連合後援会(日本真空学会主催)で発表し、論文投稿(Vol.57, No.4, 2014)した。
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