研究課題/領域番号 |
23560434
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
宮嶋 照行 茨城大学, 工学部, 准教授 (00261743)
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キーワード | 通信路推定 |
研究概要 |
本研究では,パイロット信号を用いずにスパース通信路を推定する手法を開発し,移動無線通信における高速伝送へ応用することを目的としている.本年度は,(1)シングルキャリア伝送のためのスパース通信路推定,(2)OFDMにおける時変スパース通信路の推定の2点について検討した. (1)について,線形予測に基づいて非ゼロタップを検出する方法を新たに考案した.非ゼロタップ検出が可能となるための条件を理論的に明らかにした.購入機器を用いたシミュレーションによりその性能評価を行い,有効性を確認した.さらに,タップ検出結果を利用するブラインド通信路推定法を検討し,タップ検出を用いない方法に比べて優れた推定性能を持つことをビット誤り率の評価により確認した.この成果について国内学会発表を行った.23年度のOFDMに関する成果と同様に,シングルキャリア伝送でもスパース通信路における高速伝送の可能性が示されたことは重要である.また実験的検討を通して実用上の問題点が明らかになり,今後の研究の方向性が明確になったことは大きい収穫であった. (2)について,OFDMの時変通信路をパイロット信号を用いて推定することを検討した.スパース通信路を仮定した場合,従来の通信路推定法では性能が劣化することをシミュレーションにより確認した.L1ノルム最小化による推定法を検討し,従来法に比べて性能が非常に優れることを確認した.パイロット信号の有効利用の可能性が明らかになったことで,今後のセミブラインド手法の開発への道筋が得られたことは意義深い.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,「研究実績の概要」で述べた研究目的を達成するために,(1)L1ノルムを利用する通信路推定法,(2)OFDMのための通信路推定法,(3)MIMO-OFDMへの適用,(4)少数のパイロット信号の利用,(5)時変通信路への対応を検討する計画である.23年度までに,(2)と(1)の一部の検討を行った.24年度は,(1)(2)(5)に関連する事柄について検討を行った. (2)については,学術論文誌に既に論文が掲載されており目的を達成している.(1)については,時不変および時変通信路の推定の基礎的な実験的検討を行っている.(5)についてはパイロット信号を利用する場合の検討を行っており,パイロット信号を利用しない場合についてもアイデアはほぼ固まっている.今後は,これまでの成果を発展させた形で未検討項目の検討を進めることで,所期の目的が達成可能と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果を発展させた形で以下の未検討項目の検討を進める.なお以下における性能評価は購入機器を用いたシミュレーションにより行う. (1)シングルキャリア伝送のブラインド非ゼロタップ検出の高度化として,データ数削減,L1ノルム最小化の利用,パイロット信号を利用した非ゼロタップ検出の開発とそれのセミブラインド推定法との融合を検討する. (2)MIMO-OFDMへの適用として,既に開発した手法のMIMOへの拡張とその実験的評価,リソース割当を含む性能評価を検討する. (3)OFDMにおける時変通信路推定して,時変通信路のモデル化とそのブラインド推定法の開発,L1ノルム最小化を利用したスパース通信路の推定を検討する. (4)本研究全体の総括として,複数手法の統合や改良等の発展的な検討課題を整理し,今後の研究の方向性を明確にする. 全研究機関を通じて,研究会等に参加し情報収集を行うとともに,上記の検討により得られた成果を国内外の学会で発表する.最終的な結果をまとめて学術論文誌へ投稿する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に購入したソフトウェアを引き続き利用するために保守更新を行う必要がある.学会へ積極的に参加して調査および成果発表を行うために,旅費と学会参加登録料が必要である.また論文を積極的に投稿するために,英文校閲費と論文別刷代が必要である.
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