研究課題
H.264(MPEG-AVC)は,現在最も高い符号化能率を実現できる映像符号化標準方式と認めらており,ワンセグ放送やブルーレイディスクの符号化等 のために広く用いられている.しかし近年,超高精細映像等への適用を可能とする,より高能率な符号化方式を求める声が高まって来ている.本研究においては,従来の枠組みを越えた更に新しい符号化要素技術に関連した知見の獲得・公表を行うことを研究期間内の目的としている.具体的には,未だ符号化されていない画素の入力値を用いて符号化側で効率良く予測を行う「非因果的符号化方式」をベースにした新しい符号化方式の実現可能性を示す.平成24年度においては、第1の課題として,フレーム内符号化提案方式の効率改善を行なった.既存の国際標準方式の中でも最高水準の画質を実現するH.264 High Complexity Mode技術を用いた符号化装置よりも,対象画像によっては約6dB の画質改善が実現可能であることを示し,結果をまとめ論文として採録された.さらに第2の課題としてフレーム間動き補償予測符号化(Pフレーム符号化)への拡張を検討し,関連して新しいアプローチの条件付画素補充方式を提案して論文投稿として採録された.第3の課題として,H.264等の既存の国際標準方式においては,既に符号化されたフレーム(Iピクチャ、Pピクチャ)の画素値を用い,間に存在する複数のフレーム(Bピクチャフレーム群)の画素の値を予測するBピクチャ符号化方式が用いられている.そこで,非因果的内挿予測をこの様なBピクチャ予測のために適用し、シーンチェンジ検出や動き補償予測符号化方式と組み合わせたBピクチャ符号化方式の性能改善を検討した.結果として,予測効率の大幅な向上が得られる見通しを得た.これらの結果についてまとめ,13項に示す関連研究発表を行った.
1: 当初の計画以上に進展している
平成24年度実施予定項目に関しては,ほぼ作業を完了し,提案方式の有効性を確認できた.また,一部,次年度の項目の検討に取り掛かることができた.
今後の課題として,フレーム間動き補償両方向予測符号化(Bフレーム符号化)の,性能向上を先ず検討する.構成上は従来のフレーム内符号化方式の高能率性・並列性を保ちながら,シーンチェンジ等の発生に対しても耐性を有するBピクチャ方式の実現を目指す.更に動き補償予測方式の精度を高めた非整数画素予測使用時に,演算負荷が過重にならない非因果的符号化アルゴリズムの開発を目指す.また,一連の非因果的符号化方式について,特に変換符号化の見地から見た新規の符号化処理機能の付与の実現可能性を追求する.
該当なし.
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画像電子学会誌
巻: 第42 巻 ページ: pp345-357
情報処理学会論文誌コンシューマ・デバイス&システム((CDS)
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ISSN 2152-5056 (online), published by ACEEE USA.
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