研究課題/領域番号 |
23560436
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
羽鳥 好律 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (20361769)
|
キーワード | 映像信号高能率符号化 / 非因果的符号化 / 並列符号化 / 変換符号化 / ハイブリッド符号化 / 内挿予測 |
研究概要 |
平成25年度における第1の課題として,非因果的内挿予測をBピクチャ符号化のために適用してシーンチェンジ検出や動き補償予測符号化方式と組み合わせたBピクチャ符号化方式の性能改善を検討した.結果として,予測効率の大幅な向上が得られること,またフレーム内内挿予測と組み合わせたハイブリッド方式により条件付画素補充制御を効率よく実現できることを確認した. 第2の課題として,「非因果的符号化方式」を複数のカメラ間の映像信号の符号化方式,具体的には多視点映像の符号化方式に適用することの可能性について検討した.結果として現在標準化作業G等で検討されているMV補償に比べ優位な改善が得られるとの見通しを得ることが出来た.また,関連する研究を進める内に,カメラ位置の違いによる符号化性能に差異が生じるという問題(非因果的符号化においては,復号順により画質劣化の影響度が異なるという理由に起因する)に対し有効な解決策を得ることが出来,一部実装してその有効性を検証できた. 第3の課題として,前項迄の問題を「非直交変換符号化」の立場から整理しなおすことにより,「非因果的符号化方式」の有効性を更に高めることが可能となるとの見通しが得られたので,解析的検討を開始した. 第4の課題として,本提案方式の最も特長とするところは符号化処理の並列化を実現可能とする点にあるので,その優位性を示す対象として近年タブレット端末等で多用され始めた複数映像の非矩形形状での多重表示技術に適用することを目標と定め,その核となるイメージリターゲッティング技術について検討を進め,その要素アルゴリズムの研究をほぼ完成した. これらの結果についてまとめ,13項に示す関連研究発表を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度実施予定項目に関しては,計画した作業をほぼ完了し提案方式の有効性を確認できた. また,一部当初想定していた範囲を超えて関連する項目へと検討を拡張することができ,課題全体としての深化を行うことができた.ただし,予定していた論文発表の内の1件が年度内に終了しなかった点は残念であった.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の課題として,一連の非因果的符号化方式の性能改善について,特に非直交変換符号化の見地から見た新規の符号化処理機能の付与の実現可能性を追求することは有意義な課題と考えられる. 具体的には,1)Bピクチャ符号化方式に関し条件付画素補充制御まで含めてシーンチェンジや最終フレームでの画質劣化を防止できる非因果的Bピクチャ符号化方式の完成,2)非直交変換符号化の考え方をベースにした自由視点映像符号化方式の開発,3)高解像度映像信号(8K-TV) の高品質伝送方式の実現,等の研究開発の実施を目指す. また,イメージリターゲッティングの課題に関しては,コンテンツの編集・提示と言う観点に立ったより新たな大きな研究課題の枠組みの中で別途研究が継続されてゆくことを期待する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
繰越額が生じた状況 25年度秋に,本課題関連の研究の内よりイメージリターゲッティングに係る成果をまとめて論文として投稿したが,条件付き採録となった.必要な対応を行い現在再投稿中である.比較的軽微な採録条件なので,今回の再投稿で採録となる可能性が高いと思われる. 論文が採録となった場合には,次年度繰越額を論文発表料に使用したい.
|