研究課題/領域番号 |
23560445
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
岩橋 政宏 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (30251854)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 画像信号処理 |
研究概要 |
映像から自己位置を推定し、自律的に走行できる探査ロボットを、レスキュー現場に複数台配備する。この際、伝送される膨大な映像データが、通信路の限られた伝送容量を圧迫し、通信が不安定となる問題が生じる。本課題では、自己位置推定に必要最小の成分のみを抽出して伝送することで、データ量を大幅に圧縮できる機能的階層符号化に、カラー成分の非線形写像と、ビット深度の類別符号化を、新たに導入する。これにより、特徴点が不明確な床面上での、安定した自律走行を実現する。 主成分分析(PCA)により、RGBカラー成分を無相関化することで、映像オドメトリにおけるマップ生成の安定性を、大幅に向上できることを実験的に確認した。これを非線形写像として一般化し、オドメトリの有効成分を上位ビットに集約させた。また、カラー画像の色変換法として、固有変換を適用することで、複数の色成分を少数の成分に集約させ、既に成功しているカーペット上でのマップ生成を、より特徴の少ないコンクリート上での走行ケースに適用した。 圧縮伝送については、下位ビットがスパースな信号に対する類別符号化の効果を確認した。このスパース性を制御可能な、トーン・マッピングの設計方法を研究した。簡易なロボットをLEGOで作成し、カーペット上でのマップ生成に成功した。先行車が予め生成したマップ上で、後続車の走行経路を遠隔指定し、自律走行させる方法を研究し、課題の抽出と対応方法の研究開発を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主成分分析に基づくカラー成分の無相関化により、マップ生成の安定性を向上できることを確認し、学会発表できた。多方向・多色照明を採用することで、映像オドメトリを更に安定化できることを確認し、学会発表でき、IEEE CAS学生表彰を受賞した。スパースな信号に対する高能率符号化方法を提案し、学会発表できた。簡易なロボットをLEGOで作成し、カーペット上でのマップ生成に成功した。以上より、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
4つの色成分(RG1G2B)と、12 bitのビット深度を持つRAW画像を用い(標準は3色8 bit)、視認性の高いトーン・マッピング方法を研究する。非線形写像として一般化し、高圧縮率かつ可逆なトーン・マッピングを新規に提案する。4つの色成分と12 bitのビット深度へと、より少ない成分とビット深度への集約法を提案する。その際、人の目に対する鮮明度ではなく、自己位置推定の精度により判定する基準を考案する。更に、データ圧縮の観点も考慮することで、映像オドメトリに特化した階層符号化を提案する。実証フィールドを、室内から室外へ、更には屋外へと拡張する。但し、晴天か曇天時に限定する。カーペット上から、コンクリートやレンガ敷きの道などへ、適用範囲を拡張する。
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次年度の研究費の使用計画 |
無線LANネットワークカメラ、および高速無線LANルータを、既存のロボットに装備する。小型映像処理器、および映像処理用コンピュータ本体を、ロボットに搭載する。Matlabを更新する。国内外の学術集会での研究成果発表に必要となる、旅費と参加登録費、および、論文出版にかかる投稿費を計上した。
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