研究課題/領域番号 |
23560445
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
岩橋 政宏 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30251854)
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キーワード | 画像信号処理 |
研究概要 |
本課題では,映像から自己位置を推定し、自律的に走行できる探査ロボットを、レスキュー現場に複数台配備する状況を想定している。この際、伝送される膨大な映像データが、通信路の限られた伝送容量を圧迫し、通信が不安定となる問題が生じる。昨年度は,自己位置推定に必要最小の成分のみを抽出して伝送することで、データ量を大幅に圧縮できる機能的階層符号化に、カラー成分の非線形写像と、ビット深度の類別符号化を、新たに導入した。これにより、特徴点が不明確な床面上での、安定した自律走行を実現するためのアルゴリズムが完成した。本年度は,認識処理については,12 bitのビット深度を持つRAW画像の色成分を用い、視認性の高いトーン・マッピング方法について研究を実施した.これを,非線形写像として一般化することで、高圧縮率かつ可逆なトーン・マッピングを提案した。圧縮処理については,より少ない成分とビット深度への集約法について研究した。その際、人の目に対する鮮明度ではなく、自己位置推定の精度により判定する基準を利用した。更に、データ圧縮の観点も考慮することで、映像オドメトリに特化した階層符号化を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RAW画像の色成分を用いた視認性の高いトーン・マッピング方法を開発し,非線形写像として一般化することで、高圧縮率かつ可逆なトーン・マッピングを提案した。また,より少ない成分とビット深度への集約法について、人の目に対する鮮明度ではなく、自己位置推定の精度により判定する基準を用いて開発した。更に、データ圧縮の観点も考慮することで、映像オドメトリに特化した階層符号化を提案した。以上より、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
フィールド上での実証試験を行う.室内から室外へ、更には屋外へと拡張する。但し、晴天か曇天時に限定する。また,カーペット上から、コンクリートやレンガ敷きの道などへ。可能であれば獣道を走行させる。アドホック通信により、電波の中継にロボットを活用し、より遠隔での操作を実証試験する。多数のロボット中継が困難な場合は、少なくとも2台のロボットによる連携運用を実施する。屋上などの危険個所での、安全な自律走行を実現することで、実用上の有意性を示す。最終年度であるため、認識処理と圧縮処理、それぞれの要素技術をシステム統合する。デモ機による実証試験を経て、成果をインターネットや展示会などで公開する。屋上における有害鳥の監視などに応用することで、社会的な有効性を示す。その他、工場やビルの「一時的」な夜間見回りや、有害鳥獣に対する「移動案山子」などへの応用についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
クローラ型ロボットに,ネットワークカメラおよび高速通信装置を装備する。小型映像処理装置をフィールド試験用に拡張する.映像処理用コンピュータ本体の能力を向上させるため,ソフトウェア開発環境であるMatlabを更新する。国内外の学術集会での研究成果発表に必要となる旅費と参加登録費、および、論文出版にかかる投稿費が必要となる。
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