研究課題/領域番号 |
23560449
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山里 敬也 名古屋大学, 教養教育院, 教授 (20252265)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 可視光通信 / LEDアレイ / 高速度カメラ / ITS / 複数情報源の認識 / ブロックマッチング |
研究概要 |
本研究では,可視光通信によるインフラ協調型安全運転支援システムの実現を目的に,可視光通信による路車間データ伝送および車車間データ伝送について検討する.具体的には,車輌が遠方から交差点へ進入するケースを想定し,路車側送信機としてLED信号機,車輌側送信機としてLEDテールランプを考え,これら複数データの同時受信を行う.受信機は,走行車両に搭載した高速度カメラを用い,異なる情報源をそれぞれ個別に認識,追従することで,異なる情報を得る.このように,運転者が視覚的に認識することができる信号機情報やテールランプの情報に加えて可視光通信により安全運転支援情報も送信できるため,交差点事故の削減に寄与できるものと考えている.平成23年度は,複数情報源をそれぞれ個別に認識,追従を行うためのアルゴリズムについて検討を行った.具体的には,ブロックマッチングを行うことで,複数情報源を高速かつ路バストに認識,追従するアルゴリズムの開発に成功した.既にオフラインでの走行実験にて有効性を確認している.以上の成果については,電子情報通信学会USN研究会で口頭発表しており,また,電子情報通信学会和文論文誌へ投稿済み(条件付き採録)である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は,複数情報源をそれぞれ個別に認識,追従を行うためのアルゴリズムについて検討を行った.当初計画では,平成23年度は,路車側送信機(LED信号機)と車輌側送信機(LEDテールランプ)の設計・製作を行う予定であったが,以上の設計のためには複数情報源の個別認識,追従アルゴリズムの見通しがある程度立っていないと困難であることが分かったためである.特に車輌側送信機(LEDテールランプ)については,日中は常時点灯している分けでは無いので,これを考慮に入れた設計が必要になる.これは,路車側送信機(LED信号機)とは輝度が異なることを意味する.加えて,車輌側送信機(LEDテールランプ)は,データ受信を行う車輌のすぐ前に位置するため,相対速度が殆ど変化しない.一方,路車側送信機(LED信号機)の場合,たとえば,時速30km/h で交差点を通過することを想定すると,データ受信ができる範囲はおおむね100mであり,これは時間にして6秒ほどである.以上を考慮に入れたアルゴリズムの開発が必要になる.以上のように,平成24年度に行う内容を平成23年度に実施したが,全体として見ると概ね予定通り進展しているものと考えている.なお,平成24年度には平成23年度計画として掲げた路車側送信機(LED信号機)と車輌側送信機(LEDテールランプ)の設計・製作を行う予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度には平成23年度計画として掲げた路車側送信機(LED信号機)と車輌側送信機(LEDテールランプ)の設計・製作を行う予定である.加えて,平成23年度に構築した,複数情報源の認識,追跡のアルゴリズムの改良を行う.具体的には,アルゴリズムを簡単化することで,リアルタイムでの認識,追従特性を改善する.なお,平成24年度も,平成23年度同様に,得られた成果については順次公表する所存である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は路車側送信機(LED信号機)と車輌側送信機(LEDテールランプ)の設計・製作を行う.このために,昨年度繰り越した物品費を用いる.また,高速度カメラについても,より性能の高いものを購入する.これは,複数情報源の同時認識,追従に伴う演算量の増加に対処するためである.現在用いている高速度カメラは7年前に製造されたもので,演算量が高くなく,平成23年度に開発した複数情報源の同時認識,追従アルゴリズムをリアルタイムで動作させるには不十分である.
|