研究課題
目的Aの空間光実験のデータ解析については,平成23年度よりもより実態に即した数kmの測定実験を予定していたが,送信側望遠鏡(送信機)のレンズに不具合が発生したため,NICTにて空間シミュレータを通した測定実験を行い,解析した.その結果揺らぎモデルが得られ,通信路符号化の効果も明らかになった.この結果と,空間を伝搬させた時の距離の関係を得るためには追加測定が必要であり,現在その準備のための検討を行っている.外部発表には至っていない.目的Bの宇宙光通信の汎用性の高いモデルの確立は,共同研究者の別の解析などでも,既に我々が平成23年度に発表したモデルに問題がないことが裏付けられた.目的Cの宇宙光通信に最適な通信路符号化手法の構築については,LDGM符号の有用性がさらに確認できたのと同時に,その他のLT符号についても検討を進めた.その結果相互の符号には宇宙光通信に適用したときに相互に利点欠点があることが分かった.このことについては発表論文中で考察を行っている.目的DのCCSDS(Consultative Committee for Space Data Systems)への提案と標準技術策定については,CCSDSの状況が変わり,宇宙光通信の符号化についてはまず上位標準化団体のIOAG(Interagency Operations Advisory Group:宇宙機関のみ参加可能で名工大研究者は不可)で議論されることになり,その結果を踏まえてCCSDSで議論するかどうかになった.現在状況を見極めている.
2: おおむね順調に進展している
伝搬路モデルと符号化について一定の進展があり,国内会議,国際会議,学術論文に発表し技術を公知とできたため.また指導学生を筆頭にしたグループで1件国内学会より研究賞の受賞を受けた.目的Dの標準化について寄与できるように引き続き努めたい.学術論文は1件投稿したが返礼になったので現在修正,再投稿を行っている.
当初の研究計画に沿った推進を図る.目的AはNICTにて追加実験ができる場合は行う.目的CはLT符号の検討を進めるとともに,高速伝送に耐えうる構成を検討する.目的Dは上記のとおりCCSDSの符号部門が開催されれば参加する.
CCSDS参加のための出張は不透明であるが,それ以外の経費計画はほぼ計画通りである.昨年度実現できなかったが,韓国の専門家を数日招いて意見交換を行う可能性が少しある(昨今の世情から可能性は低い).
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