研究概要 |
1.従来のスペクトル拡散符号生成器であるLFSR(線形フィードバックシフトレジスタ)に、カオス理論に基づいて設計された論理回路を付加することにより、非同期CDMA通信で有用な負相関スペクトル拡散符号が多数生成できることを明らかにした。また、提案系列が、加法性白色ガウス雑音環境下や位相雑音を考慮した場合の非同期CDMA通信において、従来のGold系列やM系列よりも低いビット誤り率特性を示すことを明らかにした。 2.ユニポーラ(0,1)符号を用いた光CDMA通信方式として、SIK(Sequence Inversion Keyed)方式を用いると、従来のCDMA用バイポーラ(1,-1)符号の相関特性を活かせ、負相関系列が有用である。本研究では、非線形フィードバックレジスタ(NFSR)によって生成されるde Bruijn系列およびこれを負相関化した系列を用いて、SIK方式非同期CDMA通信のシミュレーションを行い、ビット誤り率特性を評価し、光CDMA用符号であるプライム符号とも比較検討し、負相関化したNFSR系列の有効性を明らかにした。 3.オンオフキーイングCDMA方式とTDOA(到着時間差)を用いた超音波による屋内測位システムを想定し、Gold系列およびNFSR系列をスペクトル拡散符号として用いた場合の測位シミュレーションを行い、相関受信機の出力特性、同期点検出能力、および測位精度について評価した。その結果、非平衡Gold系列では、同期点のピーク値が低くなっているものがあり、用いる符号は平衡系列が望ましいこと、cmオーダの測位のためには、チップレートを10kcps程度以上にする必要があることなどを明らかにした。また、超音波送受信モジュールを用いて簡易実験を行い、提案方式による符号の送受信ができることを確認した。
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