研究課題/領域番号 |
23560463
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡 育生 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80160646)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 変調識別 / アンダーソン・ダーリン検定 / 周期周波数 / ブロック長識別 / 直交振幅変調 / 一般化直交変調 |
研究概要 |
本年度は,シンボルバイシンボル変調について「信号検出」と「変調識別」,ならびに,ブロック変調について「ブロック長推定」に関する検討を行った. まず,シンボルバイシンボル変調の信号が存在するかどうか,受信した標本点に,クラーメルフォンミーゼス検定とアンダーソン・ダーリン検定の両方を用いて,正規性検定を行った.シミュレーションによる検出誤り率評価の結果,アンダーソン・ダーリン検定を用いれば低い検出誤りとなることがわかった.次に,変調識別が容易ではない16QAMと64QAMの識別において,ガウス分布ならびにカイ2乗分布とこれらの検定を組み合わせて識別誤り率を求めた.その結果,カイ2乗分布とアンダーソン・ダーリン検定を用いる場合に最も良い識別誤り率が得られることを明らかにした.また,用いる標本数を減少させて計算量を軽減する検定法の提案を行った. ブロック変調のパラメータ推定では,一般化直交変調信号の周期定常性の評価を行った.時間軸で変調信号波形を発生させるシミュレーションを用いて周期周波数を求めた.まず,受信機において周波数オフセットならびに位相ずれが存在する条件下において,周期周波数が存在するかどうかの検定を行い,次に,周期周波数のピーク数でブロック長を推定した.その結果,ブロック長が4,6,8の場合に標本数5000程度で十分な推定特性が得られることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は,次の3項目の課題を計画しており,概ね,計画どおりの研究成果が得られた.それぞれの項目ごとに研究成果を示す.・信号検出:アンダーソン・ダーリン検定などを用いた場合の信号検出について,検出誤り率をシミュレーションを用いて評価した.・シンボルバイシンボルの変調識別と信号数識別:アンダーソン・ダーリンなどの検定法を用いた場合の16QAMと64QAMの識別特性を明らかにした.信号数識別に関しては,周期周波数のピーク数により信号数が得られることを確認した.・非ガウス性検定:アンダーソン・ダーリン検定などによる非ガウス性検定により,信号検出が可能であることを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでに得られた結果の拡張を含め,次の項目について検討を行う.・検定を用いた信号検出と変調識別:アンダーソン・ダーリン検定による信号検出と変調識別について,信号検出誤り率ならびに変調識別誤り率を改善する確率分布関数の重み関数を見いだす.また,検定の計算をさらに効果的にする方法を検討する.・周期定常性を用いた信号検出と変調識別:ブロック変調における,周期周波数を用いたブロック長推定の推定誤り率を向上させる.周期定常性を用いて,シンボルタイミングを推定し,これをシンボルバイシンボル変調の識別に適用して変調識別性能を評価する.周期定常性を用いて遅延波を推定することによるチャネル推定を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
時間軸で変調信号波形を発生させるシミュレーションは,標本点のみを対象とするシミュレーションと異なり計算量が多いため,高速計算のためのCPUを購入する物品費を使用する.また,このシミュレーションプログラムの作成には学生の補助が必要であり,このための謝金を用いる. 得られた成果について,2件の国際会議と3件の国内会議での公表を予定しており,このための旅費を支出する.その他,得られた成果を学会論文とするため,論文掲載費を支出する.
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