本年度は,引き続き,SN比推定に関して研究を行い,次の成果を得た.まず,ディジタル位相変調(PSK)と直交振幅変調(QAM)を対象とした尤度を用いたSN比推定を提案し詳細な検討を行った.2次振幅モーメントと4次振幅モーメントを用いるモーメント法と提案法を比較し,特にSN比が比較的に高い場合に提案法が優れていることを明らかにした.
次に,SN比を離散領域に分割した上で,尤度を凸関数と仮定することにより,解析的に推定誤り率を導出し,その有効性を計算機シミュレーションで明らかにした.
さらに,SN比が未知の場合に,SN比推定と同時にPSKとQAMの変調識別を行う推定方式を提案した.提案方式では,真の変調方式が他の候補の変調方式より多値数が大きい場合にSN比が低い領域で識別誤り率が低くなり,また,真の変調方式が候補となる変調方式より多値数が低い場合にはモーメント法より1dB程度,識別誤り率が良くなることを明らかにした.
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