研究課題/領域番号 |
23560466
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
加島 宜雄 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50306924)
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キーワード | ラマン増幅 / PON / アクセス網 |
研究概要 |
2年目の平成24年度では前年度に整備した実験系を用いて本研究で提案している反射器を用いたラマン増幅の実験、シングルモードファイバ(SMF)20kmの伝送実験を実施した。 実験に先立って、前年度に測定したSMFのラマン増幅係数の波長依存性の測定データをもとにラマン増幅の利得の波長依存性、増幅自然放出光(ASE)パワーの波長依存性を理論的に検討した。ポンプ光よりも長波長の信号光(ストークス光)は利得が有るため古くから理論検討されているので、先行研究の理論式を利用した。しかし、アクセス網ではポンプ光よりも短波長の信号光(アンチストークス光)も存在し、この信号光への影響への検討が必要である。理論式が存在しないので、新たに量子光学の生成、消滅演算子を用いる手法で導出した。これらを用いてラマン増幅を用いた場合の光信号雑音比(OSNR)をアクセス網で使用する波長1300nmから1600nmまでの範囲で理論計算した。これから、反射器を用いると利得は向上するが、OSNRは若干劣化する事、しかし劣化量はわずかなため伝送特性への影響はほぼない事を明確にした。また、アンチストークス光側の信号光は利得はなく、むしろ若干の損失を呈するがASEの発生も極端に少なく高いOSNRを有する事などを定量的に明らかにした(結果1)。さらにアクセス網PONシステムに反射器を用いたラマン増幅を適用した場合の伝送距離、ポンプパワーに対する信号光パワー、OSNRの理論計算を行い 本方式の適用性を明確にした。スターカプラーを用いたSTM-PONでは上り信号光(アンチストークス光)はスターカプラーの損失でストークス光側の下り信号光よりも低いOSNRとなる興味深い結果を得た(結果1と結果1と逆)。将来のWDM-PONについても同様の計算を行った。 なお、ラマン増幅のみでは利得が不足の場合、ハイブリッドラマン増幅を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は本研究にかなりの時間を割くことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に無かったハイブリッドラマン増幅の検討も含めて進める予定である。なお、シングルモードファイバ(SMF)20kmの伝送実験は平成24年度2.5Gbpsで行った。10Gbpsかそれ以上の伝送速度で実験を行いたいが研究室の実験装置の関係上 2.5Gbpsでしかで行えない。また、PONシステムでのバースト伝送実験が出来ない状況である。 しかし、この制約が有るが、10G-EPONなどの10Gbpsでの評価を見あやらないように研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)2013年3月に掲載されたレターの掲載料 2万円の請求が今年度来るので 支払う。 (2)残りの8万円は、学会発表の経費、光部品の購入などに充てる。
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