研究課題/領域番号 |
23560471
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松本 充司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00287997)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 可視光 / 赤外光 / プロトコルアーキテクチャ / 相互接続 / 信号波長の選定 / ちらつき |
研究概要 |
1.通信プロトコルアーキテクチャの検討:光領域での通信プロトコルでは,アプリケーションの使用モデルを含めた取組みが必要である.人間の目で感知できる光の領域は限られている.この領域を使用するアプリケーションでは(1)帯域全部を利用したアプリケーションの構築(2)照明光の一部を情報通信に利用したアプリケーションの構築するかによってもその実現プロトコルは変わってくる.電波や赤外線に比べてキラーアプリケーションが登場しない理由は,一つには,光の発生源が情報の発生源と一致しないこと.インターネットでいえばルータのような中継器の役割を担っていることである.また,電波や赤外線は情報端末間を結ぶ無線ケーブルを担うが,可視光利用の情報通信は,情報端末間を結ぶ無線ケーブルではなく,光源を介して光と共生するアプリケーションが適合すると考える.すなわち可視光通信の範囲は限定されたアプリケーションに適している.このため,可視光周辺のアプリケーションでは独自の接続方式で,他の可視光を利用するシステムとの相互接続の例は見当たらず,標準プロトコルの構築は困難であった.本研究では,赤外線通信を利用した携帯型端末間通信の通信プロトコルをモデルに,可視光通信通信プロトコルを構築した.可視光通信プロトコルの波長として,赤外光の波長に近い波長を選び,また上位レイヤのプロトコルは赤外線通信プロトコルを採用して赤外線通信端末との整合性を考慮した.2.ちらつきの検討 可視光通信の意味づけは,照明光の一部を情報通信に利用することであるが,反面,照明光時間が短縮することにより"ちらつき"の原因になる.23年度は可視光通信における各種照明の利用環境,利用条件,信号方式,伝送特性を明確にし,標準的な可視光通信方式を検討した.速度や変調方式,信号形式等,ちらつきの発生する条件について検討した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)インタオペラビリティの向上に関して、23年度の研究では、現状の通信方式の調査、分類を行い、グループ化を検討した.ついで、プロトコルの機能分類を行い、共通プロトコルの範囲を明らかにすることを目的とした.本研究では赤外線通信プロトコル(IrDAプロトコル)をベースに可視光通信プロトコルを構築した.本検討では赤外光、可視光端末間のインタオペラビリティは両端末の物理レイヤの波長を赤外領域として設計したことと、上位レイヤはIrDAで規格化したプロトコルを利用したため、相互接続は可能であった.この結果、23年度の研究はおおむね達成していると考える(2)ちらつきの防止、誤り率の軽減に関して23年度はモデリングによる理論解析を行う.また、ちらつきの防止、誤り率の軽減に関しては、変調方式の比較,ちらつきの測定データを用いて、主観評価実験を行う.通信距離と通信速度に対するS/Nとビット誤り率を明らかにする.また高速通信でちらつきの問題はないが実験にて検証することであった. 本研究では様々な変調方式を行いて、どの程度ちらつくのかを評価するため主観評価を行った.被験者の判断によってちらつきの程度を評価することであった.その結果(i)変調方式がOOK、2PPM(2値Pulse Position Moduration)、4PPMおよびInverter-4PPMで行い、この結果、必要最低変調速度の平均値(baud)はそれぞれ7900、580、 700、 380であった. また、ちらつきのメカニズムをより解析し、どのような可視光の波が来たときに人間の目にちらつくか、波の形のみで判別できるようにするかを検討し、可視光通信においてどのような波を作成すればちらつくのか、判断し、これによって逆にちらつかない波を作成することが可能となった.この結果23年度のプロトコルの調査研究はおおむね達成していると考える
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今後の研究の推進方策 |
赤外光、可視光による携帯端末に実装した実験は研究予算が不足するため、主に、調査研究、およびシミュレーションによるパフォーマンス巣の評価等を中心に進める.また、近年中国において家庭内ネットワークとして、家庭に引き込まれる光ケーブルでTV、メール、電話メディアにより提供される情報流通を促す無線リンクとして、可視光、赤外光の利用が想定されることから、家庭内通信の担い手の無線リンクのあり方を構築することとする. ちらつきに関しては、ちらつきの発生およびちらつきの防止策に対し、妨害光の有無の場合の影響について検討する.受光部がPDに加えて2次元イメージセンサを用いた場合の機能拡大と実用性の比較評価 入射角度によるビット誤り率の関係を調べ、仕様規格を明確にする.さらに、他の高速通信用プロトコルの比較評価を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、さらに携帯情報端末の無線リンクでの情報流通の調査、および、砂漠論として新規プロトコルの設計を試みる.これらの結果は国内外の学会等で発表する.予算があれば国際標準化にも提案する.
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