研究概要 |
LED光源の普及に伴い,照明と通信を兼備する可視光通信の期待が高まっている.照明光の一部を通信に利用する場合,電源のオンオフによるちらつきが発生する.高速周期では気にならないが低速では問題となる.本件に関しては平成24年度までの研究で,低速通信時に発生するちらつきに関して,1kbps以内であってもパルス位置変調(PPM)を用いることおよび高速キャリア変調と帯域フィルタを組み合わせることで解決した. 受信端末の整合性,インタオペラビリティに関しては,システムの標準化が必要で,そのための基本モデルと通信方式選定を確定することが必要である.可視光通信の標準化に関してはIEEE802.15.7で,CSK(Color Shift Keying)変調が決められているが,Colorフィルタの規格,高速化に適していない.また,実現性が困難で装置化は見当たらない.. 平成25年では,利用システムのアーキテクチャおよび複数の端末が同時にアクセス可能なMAC層の規格も重要であることから,アーキテクチャの設計およびアクセス方式の明確化を行い,成果を国内外の学会に提案した.近年,近距離の光無線通信の実用化の機運が高まっており,屋内や電車などの高密度の端末が存在する場合の開発が注目されている.マルチアクセス方式では,下りは天井から照明光(可視光)LEDで,上りはユーザ端末から指向性の強い赤外線LEDを利用するモデルでアクセス方法を検討した.MAC制御にはCSMA/CD,CSMA/CAおよびビーコンとポール・ACKによる組み合わせたPCF(Point coordination function)方式を取上げ,比較検討した結果,スループットはPCF方式の方が約1600kbpsでCSMA/CD方式の約900kbpsに比べ有用性を高いことを確認した.
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