研究概要 |
本年度は、まず昨年度実質的に得られていた結果として次の発表を行った。(1) たちの悪い一般次数の行列Aの一生成法として、A=μH-E(Hは対角要素が-1で他は1の行列を縁取りした行列、Eは下三角行列)でかつAの行列式がμに依らず恒等的に1となるようにEを定めることを提案しこれにより、従来法よりもかなり大きな条件数が実現できることを,電子情報通信学会非線形問題研究会(NLP研究会;2013.4)において発表した、(2) 非線形回路理論で最も基本的なn次非線形方程式:f(x)+Ax=bの解の個数の問題に関し、行列AがΩ行列であることが有限個の解をもつための必要十分条件であることの補完の定理を電子情報通信学会論文誌に投稿し、後に掲載された(2013.10)。 本年度新たに得られた成果としては、(3) 上記の問題(2)に関連する総合のレビュー論文を依頼され、電子情報通信学会基礎境界ソサイエティの会誌であるFundamental Reviewへの解説記事として掲載された(2013.10)。(4) 上記の(1)の結果の改良版として、行列Eの解析的定め方を国際会議ECCTD 2013(2013.9)で発表した。(5) 上記の(1)(4)で得られる条件数はGuggenheimerらの与えた条件数の上界とはかなりのギャップがあった。このギャップを縮めるために、上記(1)の行列Hとしてアダマール行列を縁取りした行列に選ぶことにより、Guggenheimerらの上界に極めて近い条件数が得られる可能性を示し、数値例で確認した。この結果をNLP研究会(2014.3)で発表した。一方、(6) たちの悪い(精度良く解くのが難しい)回路の生成の一案として、上記の(2)の結果を利用し、(連続)無限個の解をもつ方程式の導出を検討し、NLP研究会(2013.10)で発表を行った。この中での結果の一つは、Ω行列でない行列の生成法を与えたことである。
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