研究課題/領域番号 |
23560473
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
嶋本 薫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80235639)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 米国 / スタンフォード大学 / UAV / 無人機 / 無線通信 / アクセス方式 / 衛星通信 |
研究概要 |
1 UAVを用いた多元アクセス方式の検討 UAVからのパイロット信号強度に応じたセンサー側での優先アクセス方式を提案しその性能評価を行った。具体的にはセンサー側での受信強度の変化が増加、無変化、減少等の傾向により位置関係を推定し、特に遠ざかるUAVに対してまだ送信ができていない場合は送信電力やタイミングに優先度を持たせて確実な伝送を試みる方式を提案した。 2UAVを用いたマルチホップネットワークの確立 広域なセンサー網を想定し、まずはセンサー間でのマルチホップを使用した場合の広域マルチホップネットワークをシミュレーションにより構築した。UAVとの通信装置の実装を行い。UAV経由、また衛星を経由した広域UAV網に関する検討も行った。 3UAVを用いた通信路モデル化 JAXAのUAVを使用する機会を得たので、それに合わせて、各機器の調達、システムの構築を行った。具体的には位置情報を把握するGPSによるUAV位置検出装置を作成し、一秒間に10回以上位置が捕捉、取得可能とした。UAVからの信号強度を取得するための、スペクトラムアナライザとGPIBインターフェースによる、自動信号強度取得システムを作成した。更に、アンテナとして400MHZから2.4GHzまで多種のアンテナを作成し、電波暗室でその指向性特性等を取得した。更に、人体に装着させるバンド型のアンテナも多数作成しその特性を取得した。大型のUAVのため飛行場の確保を行わなければいけず、実実験が遅れているため、今年度での実験は延期した。 4研究成果披露 世界最高水準の通信関係の国際会議であるIEEE Globecom2011で申請者はUAVに関するKEYNOTE講演を行った。これは当研究が世界最高水準であり、それが世界的に認識されている事を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前検討と位置付けられる、シミュレーションによる多元アクセス方式の検討はほぼ終了し、新しい手法を提案している。また、アプリケーションとして震災を受け、行方不明者の探索や津波の早期警戒システムなど、より具体的な検討が進み、それは研究計画を超える新たな成果と言える。更に、JAXAの協力のもと大型UAVを用いる実機実験が具体化し、それにむけたデータ取得システムの構築が順調に終了し、アンテナなど新しい検討も加わり、更に衛星中継も加わった新システムでの実験準備が整った。大型機うえの実験場の問題により、実験そのものは次年度になったが、次年度では実機飛行実験を数回行う予定であり、JAXA以外でUAVを調達しそれを用いた実験の目途も付けれる見込みであることから、特に問題はないものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
1 大型UAV実機を用いた実験 チャネルモデルの取得を目的とした実験と、提案システム(行方不明者探索、津波早期警戒システム)を想定したアプリケーションの双方を行う予定である。2 シミュレーションによるアクセス方式の検討及び提案 シミュレーションを用いて受信電力レベルに基づくアクセス方式の検討を行ったが、次年度では更に、複数UAV間の通信や、衛星中継を想定した場合のアクセス方式など様々な取り組みを行い、新方式の提案を行う。3 UAVを用いたマルチホップネットワークの確立 センサー間でのマルチホップを使用した場合の広域マルチホップネットワークをUAVを元に構築させる。その結果、センサーの電力消費を抑えるためのクラスター構成やルーティング方式が確立され、類似のシステムにも適用可能と考え、検討を行う。4 非常時用の移動基地局としてのUAVの利用に関する検討 地震等の広域災害時における、被害状況の把握や携帯基地局等のバックアップとしての利用を行うための技術要件を明らかにし、それらの状況想定した具体的なUAVアプリケーションを提案する。災害時でのUAVの利用は、まさにこれからの重要課題であり、研究としては例が少ない。従って、同分野を世界に先駆けて行うことは、自然災害の多い日本の役割と考える。研究では災害時におけるUAVの有効利用方法を多角的に検討し、比較的に安価な通信インフラとして活躍可能なように様々な検討を加え、実用化レベルまで実験を含めて検討することで同分野の需要が高まるものと思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は主として実機実験に関するものを中心に以下の研究費使用を予定している。1 実機に基づく実験では飛行場の利用料金、実機作成に関する電子部品等、測定に関する機器類、実験に対する移動、人件費2 成果発表では、国際会議等での研究成果発表(IEEE GLOBECOM、 ACM/IEEE 国際会議など)とIEICEやIEEEの論文誌での発表を予定している。3 新規UAVの購入ではJAXA提供以外の新規UAVの購入を予定しており、ウイングスパン3m以上、搭載ペイロード3kg以上のものを目標に取得する予定である。
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