研究課題/領域番号 |
23560474
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
坪井 利憲 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (20329171)
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研究分担者 |
小室 信喜 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (70409796)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ZigBee / 屋内位置検出 / LQI / 3点測量 / ZigBeeネットワーク / 空間情報共有 |
研究概要 |
本年度はZigBeeを用いた測位技術とメンバー位置の転送を行うシステム構成についての基礎検討、およびZigBeeネットワーク構成法についての基礎検討を行った。 測位方法としては位置の既知の3ノードと測位対象物との間の距離から位置を計算する3点測量が基本的な方法である。課題としては距離測定方法と距離から位置を計算する簡易な方法を求めることである。そこで、ZigBeeが有するリンク通信品質値(LQI:Link Quality Indication)を用いることを想定し、LQI特性の詳細を実験により検証した。LQIと距離の関係を電波暗室と研究室内などの様々な環境下で実験を行い、LQI値と距離の関係式を求めた。そして、ここで求めた関係式を用いて、被測定点と3ノードが同一平面にあると仮定して位置計測精度を評価した。得られた精度は2~3mであった。 ZigBeeネットワーク構成法としては、位置計算を端末側で行う方法とサーバ側で行う方法について、端末負荷、トラヒック特性などの観点から比較評価を行った。位置計算に必要な情報量を仮定し評価を行った結果では、端末側で距離を測定しそのデータをサーバに送る方式が有利である。さらに、グループメンバーに位置を配信する方法としては、サーバに情報を蓄積し、ユーザが必要な時にアクセスする方式が有利である。 さらに、これらの研究の他に得られた位置情報からユーザの行動履歴を表示するアルゴリズムについても研究した。特に現在開発中の測位技術は位置精度がm単位になるので、これを基に行動履歴を表示すると非常に不正確な履歴となる。この程度の位置精度の点をもとにできるだけ実際の行動履歴に近づけるアルゴリズムについて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に記述したLQIと距離の推定式を求める検討については予定通り進展したが、電波シミュレーションを用いて検討する項目については検討できなかった。しかし、24年度に予定していたメンバー間の位置共有についての研究は前倒しで研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ZigBeeを用いた位置計測に関しては、種々の部屋環境で実験を行い、LQIと距離の関係について検討をすすめる。実験に対して電波伝搬シミュレータを用いてシミュレーションを行い、実験と比較する。さらに、実験では行えないような環境を作成し検討する。位置計算法に関しては3次限空間における簡易な計算法を検討する。 位置情報の収集配信ネットワーク構成については、位置計算に必要な情報量を詳細に検討し、収集及び配信に適したネットワークアーキテクチャを明確化する。このために必要な通信プロトコルを検討する。そして、ネットワークシミュレータでZigBeeネットワークのシミュレーションを行い、検討したネットワークアーキテクチャの通信特性を評価する。さらに、ZigBeeネットワークを実際に構築し、検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ZigBeeネットワークのネットワークシミュレーションを行うために、ネットワークシミュレータおよびこれを稼働させるためのPCシステムを購入する。さらに、ZigBeeネットワークを構築し実験を行うために、ZigBeeおよびサーバを構築する。これらのシミュレーションと実験は学生が参加するのでその謝金、実験講師への謝金を支払う。 研究発表および調査・討論のために英文論文添削費、IEEE国際会議、IEICE国内会議参加費を使用する。
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