研究課題/領域番号 |
23560476
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
野口 啓介 金沢工業大学, 工学部, 教授 (10278103)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小形アンテナ / 広帯域化 / マルチバンド / 特性モード / 伝送線路モード / モード理論 |
研究概要 |
本研究では、小形アンテナの特性改善をねらいとして特性モードおよび伝送線路モードの理論、すなわちモード理論による小形アンテナの解析と設計手法について明らかにすることを目的としている。モード理論に基づいた新規かつ自由度の高い小形アンテナの設計手法を確立するとともに、広帯域、マルチバンドの特性を有する小形アンテナの実現を目指す。この目標に対して平成23年度の計画は、(1)特性モードと伝送線路モードの理論検証、(2)基礎的な小形アンテナの解析、(3)他のシミュレータおよび試作実験との比較を挙げており、概ねこれらの計画に沿って研究を遂行した。具体的には、(1)特性モードおよび伝送線路モードの理論について従来の研究論文を調査し、その内容を把握するとともに小形アンテナへの応用について研究した。申請設備のシミュレータを購入、設置し、シミュレータの操作に習熟するとともに小形アンテナの解析を進めた。(2)基礎的な小形アンテナの解析として、パッチアンテナ、メアンダラインアンテナ、ヘリカルアンテナを解析し、さらには従来困難であった多導体で構成したアンテナ系についても解析を行った。(3)現在保有する有限要素法に基づくシミュレータ(HFSS)、FDTD法に基づくシミュレータ(XFDTD)を使用し、HFSSについては申請設備のシミュレータとの比較を行い、解析の妥当性についても確認を行った。これらの研究内容については今後論文にまとめ、適切な学会で報告を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って研究を進めており、23年度は概ね計画通りの進展を図ることができた。特性モードと伝送線路モードの理論検証、申請設備のシミュレータを用いた固有値解析のソフトウエア開発についてはまだ十分な結果を得ていないので、24年度も継続して検討を行い、当初予定の研究成果を得るために研究推進を図る。
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今後の研究の推進方策 |
24年度以降は(1)多層または多導体で構成したアンテナの解析、(2)既存システムに適用可能な広帯域、マルチバンド小形アンテナの解析を計画している。ねらいとする広帯域、マルチバンド小形アンテナでは、基本的な構成として多導体を必要とし、これらがどのような条件(寸法、形状)の場合に良好な特性を示すのか研究し、その場合の特性モード、伝送線路モードについて申請設備を用いた解析を行う。また、既存システムの周波数帯に応じた広帯域、マルチバンド小形アンテナについても解析を行い、実現の可能性、小形化、広帯域化およびマルチバンド化の限界について研究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度予算において約50万円の残額については出張を見合わせたことによるものであり、24年度において別途計画している。24年度の研究計画では、消耗品費、旅費に研究費を用いることとしている。具体的には、24年度は試作実験を計画しており、そのための高周波ケーブル、コネクタなどの消耗品の購入、国内および国外の調査、学会発表のための出張旅費に研究費を拠出する。なお、国内の出張は2,3回、国外は1回程度を予定している。
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