研究課題/領域番号 |
23560478
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
松井 一 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80329854)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 誤り訂正符号 / 復号法 / リード・ソロモン符号 / BCH符号 / 代数幾何符号 / p進数 / グレブナー基底 / 離散フーリエ変換 |
研究概要 |
2進数体上のBCH符号に対する拡張ユークリッド法による高速な代数的復号法を提案した。既に知られていた2進数体および3進数体上のGolay符号に対する連立方程式による復号法の一般化および高速化となっている。数値例として、符号長15、次元7のBCH符号に対する2重誤り訂正を取り上げ、数式処理システムmagmaを用いて解説した。次に、一般化準巡回符号を用いた低密度パリティ検査符号(LDPC符号)の構成について検討した。一般化準巡回符号について成り立つある種の等式および最小ハミング距離の上限下限式を応用して、全探索アルゴリズムの効率化と最適化を行った。構成されたLDPC符号は最小ハミング距離が比較的大きいという特長を持ち、ビット誤り率のグラフにおけるエラーフロア領域の特性改善に効果があった。さらに、リード・ソロモン符号や代数幾何符号などの符号化や復号化にしばしば現れる演算を理論化し、代数的符号理論における一つの補題を確立した。この補題は、二つのベクトル空間、一方は情報シンボルのなすベクトル空間、もう一方はあるグレブナー基底の台の元によって添え字づけられたベクトル空間について、これらのベクトル空間の間の標準的同型写像を与える。またこの写像は、グレブナー基底から得られる線形漸化式による拡張写像と離散フーリエ変換の合成写像からなる。次に、この補題をある種のアフィン多様体符号に応用し、符号化・消失誤り訂正復号化統合システムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、2進数体上のBCH符号に対する高速代数的復号法が得られ、またこれに関連して、一般化準巡回符号に対する探索アルゴリズム、およびアフィン多様体符号に対する符号化・復号化統合システムについての成果も得られたので、研究が順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2進数体の拡大体上のBCH符号(特にリード・ソロモン符号)に対しても、拡張ユークリッド法による高速な代数的復号法を実現する。また、別の高速復号法であるBerlekamp-Massey法も適用を検討し、離散フーリエ変換による符号化・復号化を実現する予定である。一般化準巡回符号に対しては、素因子分解法による全探索アルゴリズムの高速化を行い、さらに整数符号に対しても類似の手法を応用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては、2進数体の拡大体上の符号を扱う際に計算量が増大することが予想され、また一般化準巡回符号の探索についてもPCクラスターを用いた並列計算が必要となるため、専用の計算機を導入し、またいくつかの数式処理システムを購入する。
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