研究課題
これからの無線・有線通信では、より多くユーザに安定した通信環境を整えていく必要があり、そのための符号分割多元接続(CDMA)の特徴を生かした新たなダイバーシチ方式を提案、実現する。符号ダイバーシチ方式は、一局にいくつかの系列を割り当て、その合成系列に情報を負荷して送信し、受信機ではそれらとの相関をとり、ダイバーシチ枝として重み係数を乗じて加算し復調する。考え方はシンプルであるが、符号系列の設計、ダイバーシチの重み係数の設定は解析上、学術的にも興味深い。本年度は、昨年度考案したディジタルディジタル(DD)系列、すなわち、符号ダイバーシチの要素となる各系列を2値のディジタル系列で構成し、それらの合成である拡散系列もまた2値ディジタル系列となる系列について、さらに、理論的な考察を加え、その干渉除去の改善効果をコンピュータシミュレーションによりビット誤り率で評価した。また、本研究費で購入した電波強度測定用のスペクトルアナライザにより、室内での電波伝搬の状況を観測し、他局間干渉の大きさの分布を調査、それに基づいて、符号ダイバーシチを用いた場合の通信品質改善に関する有効性を示した。さらに、ハードウエア試作実験として、昨年度の試作に加えて、直交ゴールド系列を用いた直接拡散/スペクトル拡散(DS/SS)通信方式の送受信機と、本提案のDD系列によるDS/SS通信方式の送受信機の試作を行った。まだ、完成に至っていないので、今後引き続いて進める。いくつかの学会において、これらの成果の研究発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
昨年度考案したディジタルディジタル(DD)系列の考察や特性評価が進んでいる。また、購入したスペクトルアナライザにより、電波伝搬の観測と干渉量の評価が行えた。さらに、ハードウエア試作実験として、直交ゴールド系列と、本提案のDD系列によるDS/SS通信方式の送受信機の試作が進んでいる。
提案したディジタルディジタル(DD)系列の特性評価をさらに進める。新しい拡散系列や干渉除去方式についても検討を進める。電波伝搬の観測をさらに進める。ハードウエア試作を進めて、符号ダイバーシチ方式の評価を実験的に行う。
平成24年度の残額と平成25年度研究費とを合わせて、ハードウエア試作のための消耗部品、ならび、研究発表のための参加費、旅費として使用する計画である。
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The 2012 International Symposium on Information Theory and its Applications (ISITA2012), Honolulu, Hawaii, USA, Oct. 28-31, 2012
巻: 1 ページ: pp.347-351