研究概要 |
グローバルサプライチェーンを対象として, 複数の部品供給者, 生産者, 地域販売者の3層から構成されるグローバルサプライチェーンネットワークの数理モデルを構築した. 3層から構成されるグローバルサプライチェーンにおいて想定されるサプライヤの部品品質リスクと需要変動リスクを同時に考慮して, サプライヤ選択と生産計画を同時に最適化することのできるゲーム論的アプローチに基づく最適化アルゴリズムを開発した. 需要変動量と部品品質のリスクが生産計画に与える影響を考察した. 生産者と販売者の多期間生産計画問題を対象として,非協力関係を考慮したStackelberg解を解析し, Stackelberg解をサプライチェーン全体の最適解に近づけるための最適な契約について検討した. 国内輸送と海外輸送を同時に考慮したグローバルサプライチェーンの集荷分割配送計画問題に対し, 列生成法ヒューリスティックスを用いた最適化アルゴリズムを実問題に適用し, 熟練者による実績結果と比較することにより, 提案した解法の有効性を確認した. 需要の不確実性を考慮した生産計画と倉庫配置計画の同時最適化問題に対するラグランジュ緩和と固定ヒューリスティックスを用いた解法のアルゴリズムを開発した. 開発した手法を品目25, 置場数65の実問題へ適用し,提案手法により双対ギャップ1.2%程度の準最適解が得られることを数値実験により示した. 以上の成果は不確実情報下において, サプライチェーンにおける配置計画や契約決定などの長期計画と短期計画を同時に考慮した新たな問題に対する最適化手法であり, グローバルサプライチェーンにおける新しい最適化技法の導入とその有効性を実データを用いて示したという点で大きな意義がある.
|