本研究課題では,生産スケジューリングの業務プロセスのモデリングを行い,システム化規範を構築することを目的としている.具体的には業務プロセスモデルを明確にし,そのモデルに適合するシステム化モジュールの機能およびインタフェース仕様を定め,システム化モジュールを用いたシステム化規範を提案することである.本研究課題の成果は以下の2つである. ・2012年4月に,電気学会C部門システム技術委員会において「生産スケジューリング業務のシステム化規範に関する協同研究委員会」を設置し,本委員会のメンバーとシステム化規範について議論を行ってきた.現状のシステム構築の問題点を整理し,その問題点を克服するためのシステム化規範をまとめた. ・中小企業における生産スケジューリングシステムの導入をターゲットとしたスパイラル進化型生産スケジューリングシステムを提案した.企業環境では,製造プロセス,利用設備,利用処方,製品,業務などが常に変化している.このような変化に対して,システムは停止することなく継続的に運用しなければならない.そこで,本提案では,スケジューリング業務と製造プロセスの改善作業を同期化させ,これらの業務をサポートするスパイラル進化型のシステム開発規範をまとめ,それに従った生産スケジューリングシステムを開発し評価を行った.特に本年度は,この項目に重点を置き,昨年度開発した生産スケジューリングシステムの評価を継続し,より多くの中小企業で利用可能とするために,在庫情報をもとにスパイラル進化可能なシステムとするための拡張機能の設計・実装を行った. 今後は,本研究で構築したシステム化規範およびシステム化モジュールの概念を学術論文として仕上げ技術公開を行うことを継続して行う.また,Web上での技術公開も行い,広く技術の普及・啓発活動を実施することを予定している.
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