研究課題
本研究はNi基合金が劣化の初期段階で微小な磁性を発生することを用いて早期の劣化診断を行える非破壊検査手法を確立しようとするものである。そのために空間分解能検出能力の高い磁気測定手法として超音波干渉を用いた試料振動型磁力計(VSM)を提唱し、部位ごとの磁気特性を測定することでNi基合金の劣化部位の検出ができるようにすることを目指した。また劣化による微細な磁性体の磁気特性を評価し、正確な診断を行うための解析手法の構築を進めた。これまでの研究過程において下記のことが実現している。前年度までに作成された超音波干渉VSM装置の試作品を用いて超音波照射の最適化と信号処理による高感度化を進めた。超音波発生源であるアクチュエータから短時間バースト波を試料に入射する伝搬経路をV字型にすることで反射波の干渉を抑え、特定の試料部位に収束させることで弱磁場からの初磁化曲線のS/N比を5倍以上改善することができた。なおこれには検出信号をフーリエ変換し干渉波のみをフィルタリングした効果も寄与している。また平行して局所的に生成された微小磁性体の磁気特性を新規に開発した磁区測定型μKerr顕微鏡により測定し、3μmφのエリアでB-H曲線を検出できることを示した。μKerr顕微鏡は光を用いるため試料表面に限った磁気特性ではあるが、これと超音波干渉VSM装置を組み合わせることで、より詳細な劣化部位の診断ができる可能性を示した。
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Transaction of the Japan Society for Simulation Technology
巻: Vol. 4, No. 4 ページ: 160-167
10.11308/tjsst.4.160