研究課題/領域番号 |
23560498
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
本島 邦行 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30272256)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | き裂探傷 / 円偏波 / ヘリカルアンテナ / 非接触探傷試験 |
研究概要 |
平成23年度には、向上などの大型プラントで使われている金属製配管の保守管理を容易にするために、金属配管に生じた亀裂を電磁波を用いて非接触で検出する探傷試験方法について実施した。この新たな探傷試験方法は、断熱材などで被覆された金属製配管の近傍に置かれたアンテナから電磁波を照射し、そのアンテナの入力インピーダンス変化を計測することで、直接目視することのできない配管上の亀裂を検出する試験方法である。センサであるアンテナと、スロットアンテナとして振る舞うき裂が電気的に共鳴する電磁波現象を利用した計測方法である。そのため、き裂長と計測周波数には強い依存性があり、き裂が電磁波共鳴しない計測周波数では、き裂を見つけ出すことができなかった。また、電磁波は偏波特性を持つために、き裂の向きによっては探傷感度が大きく異なってくる。そこで、これらの問題点を解決するために、き裂の方向による探傷感度変化を生じさせない円偏波電磁波を、広帯域周波数で発生させることができるヘリカルコーンアンテナを開発した。この新開発のヘリカルコーンアンテナは、周波数2GHz~7GHzの広帯域電磁波に対して良好な送受信特性を有し、アンテナエレメントが螺旋状をしてるために円偏波電磁波を発生させることができる。このアンテナを用いてき裂探傷実験を行った結果、金属き裂から約30mm程度離れた位置に置かれたヘリカルコーンアンテナから広帯域電磁波(周波数:2GHz~7GHz)を照射し、金属板に生じた十数mmのき裂が検出できることを確認した。また、き裂の向きによる探傷感度の依存性がなく、多様なき裂に対して良好な探傷感度を得た。今年度のき裂探傷試験におけるアンテナの入力インピーダンス測定には、一般の高周波用測定器であるベクトルネットワークアナライサ(VNA)を用いて、実数・虚数の両面からインピーダンス変化を計測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設計・開発が難しいと予想されていたヘリカルコーンアンテナを試作した結果、2GHz~7GHzの広帯域周波数でほぼ所望の円偏波電磁波を発生させることができたため。また、この新開発のヘリカルコーンアンテナを用いた金属き裂探傷試験で、当初の予想通りの探傷試験が実施できることが実証できたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の実施成果をベースに、平成24年度は金属配管に生じたき裂・変形を試験する計測方法に発展させる予定である。この内容は、本研究テーマの申請書通りの内容である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に予定した研究内容を実施するための準備段階(予備実験用)として、平成23年度中にベクトルネットワークアナライザ用の高精度校正器の購入を予定していた。しかし、予想より機器の価格が高く、平成23年度中の配分予算では購入できなかった。そこで、ほぼそのまま留保しておいた平成23年度の配分予算を、平成24年度に請求した配分研究費の一部を充当して購入予定である。また、本来平成24年度に購入を計画していた計測器は、ほぼ同性能のものがより廉価で購入できる見通しとなったため、本研究テーマ申請時の予算使用計画のままで研究実施が可能であるため、当初予定の予算使用計画の変更はない。
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