研究課題/領域番号 |
23560498
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
本島 邦行 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30272256)
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キーワード | 非接触探傷試験 / 電磁波伝達関数 / 金属管変形探査 / 異物検出 |
研究概要 |
今年度の研究目的は、変形を生じている金属管内に電磁波を伝搬させ、入力と出力における電磁波の振幅・位相変化を計測することで、金属管変形および内部に存在する異物を検出することである。このため、今年度の研究実施計画は、金属管の両端にネットワークアナライザを接続し、一端から入力した電磁波を他端まで伝搬させることで得られる電磁波伝達関数を計測し、その変化を評価することで金属管の変形および内部異物を検出することである。 そこで今年度は研究実施計画の通りに、ネットワークアナライザ及び同軸導波管変換器、矩形円形導波管変換器によって構成される計測環境を構築した。そして、この計測環境に被測定対象である変形した金属管を接続し、この金属管内に電磁波を伝搬させて伝達関数を計測したところ、金属管断面積の約10%程度の変形に関しては容易に検出が可能であることが判明した。また、10mm程度の大きさを持つ金属異物が金属管内に存在する場合も検出可能であった。さらに、金属管の一端に同軸導波管変換器経由で終端抵抗を接続して反射波を抑えた状態を作り、もう一方の端から入射させた電磁波の反射を計測することで、より高感度な変形および異物検出がおこなえる新たな計測方法を開発することができた。 今年度の研究成果によって、工場プラントなどで多用されている金属配管に生じた変形及び金属管内に存在する異物を、両端もしくは一端に計測器を接続することで容易に検出することが可能となり、プラントの保守管理・安全性向上に寄与することが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画で今年度の研究内容として予定していた、金属管の変形及び金属管内異物検出について、予定していた計測方法を実証することができたため。また、計測感度もほぼ予定していた計測性能を得ることが出来たため。 さらに、当初予定していなかった電磁波の反射現象を用いた計測方法を新たに開発したことで、高感度な計測を達成することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの研究成果により、ある程度の感度で金属管の変形および管内異物の検出が可能であることが明らかであるが、次年度はさらに高感度な検出を可能とすることを目指す。 具体的には、今年度までの研究成果では検出できなかった金属管内壁の数mm程度の変形や、金属管内の数mmの小型異物でも、それらを検出可能とする高感度計測を目標とする。 また、金属管に穴やき裂が生じている場合には、金属管から漏れ出す電磁波を、金属管外部で探知する方法も有効である。そこで、高感度電磁波受信機を用いることで、金属管の破裂部およびき裂を外部から高感度かつ容易に探索可能とすることを試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度には、今後の研究の推進方策に記述したとおり、金属管外部に漏れ出す電磁波を金属管外部で検出するための手段が必要である。そこで、高感度の周波数解析装置を購入し、これを高感度電磁波受信機として使用することで次年度の研究目標を達成する予定である。 また、研究最終年度であり、これまでの研究成果を学会や論文で発表するため、学会参加費や論文投稿費として使用する予定である。
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