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2012 年度 実施状況報告書

In-vivo計測のためのボクセルベース音響放射圧加振映像法の創出

研究課題

研究課題/領域番号 23560499
研究機関群馬大学

研究代表者

三輪 空司  群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30313414)

キーワード医用超音波
研究概要

生体組織の硬さを生体外部から非侵襲的に定量評価できれば、癌や肝硬変など組織弾性が変化する疾病のステージ評価や予後の改善に重要な役割を果たす。しかしずり弾性波は生体組織中を反射、屈折を繰り返しながら複雑に伝播していくので空間分解能や推定精度の低下させる要因となる。
本研究の目的はではずり弾性波源を含めた計測システムの高精度化、伝播速度推定法、病変境界抽出による精度向上法を新規に開発し、これらを組み合わせたずり弾性波速度分布推定法を提案し、その有効性を実験で明らかにしていくことである。
本年度は、昨年度開発を行った、走査型4素子超音波トランスデューサアレイにより三次元的な分解能を得る高速三次元ずり弾性波計測システムのハードウエア最適化を行った。本システムは中心周波数5MHz、4バースト長の超音波パルスを送信し、20msの間加振波の伝搬の様子をドップラ計測する。この計測を3mm*40mm*40mmの領域でスキャンし、約4秒で3次元計測を行う。さらに、オフラインで加振による横波の空間変位分布を推定する。
単一周波数で加振するため、局所波長は局所速度とみなせる。横波伝搬速度の空間分布を評価するために、微小ROIを設定し2次元フーリエ変換により、加振波の波数ベクトル推定を行い弾性波速度、伝搬方向の推定を行うことができる。しかし、この手法では、速度分布推定において空間分解能の向上のため加振波の波長を短くし、超音波トランスデューサの横方向空間分解能に近づくと変位推定誤差が増加することがわかった。この対策として、ウィナーフィルタを応用した速度推定アルゴリズムを導入し、寒天ファントム実験により推定誤差の向上を確認した。また、任意媒質の速度推定シミュレーションとして、FDTD法に着目し、媒質に弾性特性だけではなく粘性も考慮可能な数値計算コードを開発し、より実際の状況に近いモデル化を可能とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

24年度の予定としては、①試作ハードウエアの最適化、②速度推定アルゴリズム最適化、③音響放射圧加振の基礎検討④任意媒質のかしん数値シミュレーションであった。①に関しては概ね順調に進展しており、5mmの空間分解能を達成するのは現状では困難である。加振波が大きく減衰すること、加振波の分解能を上げることにより、変位推定誤差が増加することが原因である。これは、計測装置の電気的ノイズ等の原因ではなく、ランダムに存在する超音波散乱体の微小変動による反射波のドップラ情報を用いて空間を伝搬するずり弾性波の変位を推定しているためである。②においてWignerフィルタをベースとした速度推定アルゴリズムを開発し、空間分解能の向上が見られたが、この手法でも大幅な空間分解能の向上は困難である。③については、ハードウエアの製作等基礎的な検討を行うにとどまっている。

今後の研究の推進方策

速度推定の空間分解能の向上には、加振波の高周波化も重要な技術と考えられ、音響放射圧技術により連続波のずり弾性を発生させる技術が開発できれば、有効であると考えられる。実験とシミュレーションを通じて、任意の媒質における本試作システムのハードウエア最適化を図る。一方で、速度分布推定アルゴリズムや、硬さイメージングに波数ベクトルフィルタリングの概念を導入するなど、本システムに特有なイメージングアルゴリズムの開発も目指し、システムの総合評価につなげる予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度は、収束超音波照射用のパワーアンプをさらに購入し、アレイ型音響放射圧発生装置用の超音波振動子や、加振用の電子回路作成、ファントム実験用の機械部品の消耗品費も計上する。さらにシミュレーション開発では、三次元のずり弾性波伝搬における変位を高速に計算したり、得られた変位から数十万個の超音波散乱体を仮定した三次元のドップラ信号生成プログラムを開発するための高速な計算機の購入も予定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Tissue visco-elasticity measurement system by simultaneous multiple-frequency excitation2012

    • 著者名/発表者名
      T. Miwa, Y. Yoshihara, K. Kanzawa, R. K. Parajuli, and Y. Yamakoshi
    • 雑誌名

      Jpn. J. Appl. Phys.

      巻: 51 ページ: 07GF13-1-5

    • DOI

      10.1143/JJAP.51.07GF13

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Observation of Microhollows produced by Bubble Cloud Cavitation2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Yamakoshi and T. Miwa
    • 雑誌名

      Jpn. J. Appl. Phys.

      巻: 51 ページ: 07GF28-1-5

    • DOI

      10.1143/JJAP.51.07GF28

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 連続波加振による組織弾性映像系の開発2012

    • 著者名/発表者名
      三輪空司, 山越芳樹
    • 雑誌名

      超音波TECHNO

      巻: 24 ページ: 93-97

  • [学会発表] Super-resolution imaging using forced vibration2012

    • 著者名/発表者名
      T. Miwa and A. Kaneko
    • 学会等名
      Int. conf. on Advanced Micro Device Engineering
    • 発表場所
      Kiryu
    • 年月日
      20121207-20121207
  • [学会発表] Improvement of cross range resolution in B-mode image by US Doppler measurement with forced vibration2012

    • 著者名/発表者名
      T. Miwa and A. Kaneko
    • 学会等名
      Symposium on Ultrasonic Symposium 2012
    • 発表場所
      Chiba
    • 年月日
      20121113-20121115

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公開日: 2014-07-24  

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