研究概要 |
音叉型水晶触覚センサはその基底部が粘弾性物体に接触したときにセンサである音叉型水晶振動子の動的容量が変化することを用いている。実際の音叉型水晶触覚センサの接触実験では、アクリルケースで音叉型水晶振動子の基底部を挟み込む位置によってセンサの動的容量は接触前後で上昇する場合と減少する場合の2種類あることが分かっている。今回、実験で音叉構造を支持する位置によって接触前後の音叉型振動子の動的容量が減少するか、または上昇するかを明らかにするために、熱溶融型の3Dプリンタで支持部も一体となった音叉の全長48mm,腕の幅4mm,腕の厚み4mmである音叉型構造をPLA樹脂で積層させて作った。音叉の腕の屈曲振動を起こすのと動的容量の測定を同時に実現するために伸び縮みするPZTセラミックス(C6材で幅3mm,厚み1mm,長さ15.3mm)を音叉構造の2つの腕の側面の外側に1枚ずつエポキシ樹脂で貼り付けた。2枚のPZTセラミックスを同時に伸び縮みするように接続して、インピダンスアナライザでPZTセラミックスの共振として測定できるかを検討した。音叉構造を支持する位置については基底部の中央、更にその中央から上下にそれぞれ3mm,6mmずらしたもの5種類を製作した。このセンサの基底部を厚み約20mmの合板への接触前後の動的容量への影響を調べるため、センサの自重で接触したときとそれぞれ0.5kg,1kg,2kgの馬蹄形分銅をセンサの上部に載せて加重を加えたときの動的容量を測定した。ここで用いたセラミックスの縦振動の共振周波数は487.9kHzである。音叉構造全体が屈曲振動している状態での支持位置及び加重による接触前後の動的容量変化は測定できていない。その原因として、PLA樹脂そのものの硬さが足りず、PZTセラミックスに接着した部分のみが変位し、音叉構造全体での屈曲振動がおこらなかったなどが考えられる。
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