研究課題/領域番号 |
23560507
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
渡部 泰明 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (60175130)
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キーワード | 「国際研究者交流」 |
研究概要 |
圧電現象を利用した振動子やフィルタは携帯通信機器をはじめ多くの電子機器に利用されている.外部の高周波信号が素子の固有周波数と一致することで圧電を介して共鳴現象を起こし,電気素子では生み出せない安定な周波数を発生することが出来る.特に厚み滑り振動を利用した高周波水晶振動子は,温度に対する周波数安定度が優れているために,電子機器へ応用され小型化および高性能化が急速に進行している. 短時間で高精度な振動変位の可視化を行うシステムの実現は,圧電デバイス分野のみならず,広い科学・光学分野での応用が可能である.「実時間ナノメートル振動分布計測」という技術が今後の振動デバイス,科学技術の発展に寄与できるよう価値ある情報を提供したい. 課題として「波長の異なるレーザの同軸照射による各振動変位成分の絶対測定」があるが,前年度改良したシステムによる測定結果,すなわち3次元振動変位分布の絶対測定結果の確度を検証するために,マイケルソン干渉計を利用した既存の絶対変位測定系による比較測定を行う.また,これまでの研究に平行して設計製作を行ってきた無振動温度可変温度槽をシステムに導入し,温度可変時の測定の可否について検証する.他のマイクロ振動デバイスにも適応できるようにデバイス保持部分を改良し,汎用性の高いシステムを構築する. さらに全体の研究のとりまとめを行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災の影響は,ほぼ完了した. 課題としては「高倍率実体顕微鏡導入とレーザ照射システムの構築」と「波長の異なるレーザの同軸照射による各振動変位成分の絶対測定」において,当面の課題を克服した. 具体的には,前年度製作したシステムで,マイクロ振動デバイスの面外振動変位分布測定を実施すると共に,面内変位測定に対応した光学システムを組み込み,面内変位が既知の圧電デバイスを用いて予備実験を行うという1点.さらに,本システムの性能をチェックし,面内変位測定上の問題点を洗い出した. また,マイクロ振動デバイスの3次元振動変位分布観測のためのシステム構築が終了した後,振動変位の絶対値が測定できるようシステムの改良を行った.ここまでのシステムではレーザ波長を一定として振動変位分布を測定していたが,絶対変位を求めるために異なる波長のレーザをそれぞれの方向に対し同軸で照射できるようにシステムを改良した.
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今後の研究の推進方策 |
波長の異なるレーザの同軸照射による各振動変位成分の絶対測定があるが,前年度改良したシステムによる測定結果,すなわち3次元振動変位分布の絶対測定結果の確度を検証するために,マイケルソン干渉計を利用した既存の絶対変位測定系による比較測定を行う. また,これまでの研究に平行して設計製作を行ってきた無振動温度可変温度槽をシステムに導入し,温度可変時の測定の可否について検証する.他のマイクロ振動デバイスにも適応できるようにデバイス保持部分を改良し,汎用性の高いシステムを構築する. なお順次発表を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
科研費で購入予定・旅費予定の内訳は,電子部品と旅費(京都)である. その他,JJAP(応用物理学会)の掲載料も含んでいる. なお,効率的な予算執行で研究を進めたため予定通り執行したが,残金が生じた. 残金は次年度以降適宜使っていく.
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