圧電デバイスは,情報通信機器を始めとして多くの電子機器に使用されている.その設計には通常FEM (有限要素法)が用いられ,設計検証には試作された圧電デバイスの振動モードを実験的に計測することが有力な手段となる.解析結果と実験結果の比較を行うことで,設計の信頼性を保証することができる.また,圧電デバイスの設計では,その主モードとスプリアスモードと呼ばれる不要振動の結合回避が重要である.実験的な検証により,解析結果からは得られないスプリアスモードに関する情報を得ることができる.上記の理由から,これまでにもX線トポグラフィーやレーザドップラ干渉計等の様々な振動モード測定法が提案されている[1-4].しかしながらこれらの測定法は,被測定デバイス表面を機械的に走査することで得られたデータから振動分布を再構成するものであり,光学系の精密な調整や走査のための測定時間が必要となる. 本研究室では,粗く処理された圧電デバイス表面に,レーザ光のようなコヒーレントな光を照射した際に生じる散乱光の干渉光(スペックル)と画像処理技術を用いて振動モードを可視化するレーザスペックル法を提案している[6-12].この手法では,デバイス表面に発生させたスペックルパターンをCCDカメラで取り込み,画像処理を行うことで面内及び面外の振動モードを可視化することができる.レーザスペックル法は簡単な光学系で構成されており,光学系の精密な調整の必要がない.また機械的走査を必要としないため,非常に短時間で振動分布の測定が可能である.
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