研究課題
平成23および24年度で試作した,小口径アクチュエータの走行原理を適用しても大口径管内走行には対処させることができない.平成25年度では,電磁力を用いて振動系を励振させ,生じる慣性力を推進力として有効利用する新たな手法に取組んだ.アクチュエータ本体支持部に永久磁石を設置し,振動体を傾斜することにより発生する慣性力で,支持部の保持力を周期的に変化させて一方向移動を実現することを明らかにした.また,本移動原理により平面は勿論,円筒などの曲面上を走行可能で,減速器などの付加的装置を必要としないことを予備実験において確かめた.この原理を適用して,電磁振動体4個を配置し,大口径の配管内を往復移動が可能な電磁アクチュエータを設計した.寸法は,全長40 mm,外径100 mm,総質量は約60 gで,内径100 mm以上での管内走行が可能である.また,本アクチュエータの中心部付近に空洞部を設けて,平成23および24年度で試作した内径35 mmの小口径配管内走行用アクチュエータを本体内に挿入した.更に,永久磁石を用いた大小2つのアクチュエータについての着脱構造について検討を行った.大口径用のアクチュエータの走行特性を実機試験により測定した.入力0.3 W(入力電圧2 V,入力電流0.16 A)の電力をアクチュエータに入力した場合,本アクチュエータは100 gの質量を牽引しても垂直上昇することが確認された.最後の集大成として,大小異なる2つのアクチュエータを結合させたアクチュエータ群を用いて,配管内を走行させた.本電磁アクチュエータ群は,複数の電力増幅器と信号発生器およびパソコンのみで管内検査が可能であることを明らかにした.本年度の成果は,海外雑誌1,国内講演発表1として纏めた.科学研究費交付期間である平成23年4月から平成26年3月までの3年間において得られた結果は,海外雑誌5,国外発表3,国内発表2として纏めた.
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IEEE Transactions on Magnetics
巻: Vol. 49, No. 7 ページ: 3905 - 3908