研究課題/領域番号 |
23560514
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
村岡 茂信 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40097994)
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キーワード | CO2センサ / QCM / 感応膜 |
研究概要 |
大気中の二酸化炭素,メタン,フロンなどいわゆる温室効果ガスは,量的バランスを崩すと地球環境に異変を引き起こす。特にCO2は大気中に0.03% 程度含まれ,その含有量の変動が気候等に及ぼす影響は大きい。また,家庭においても,家屋の気密性向上に伴い燃焼機器や人の呼気によるCO2が室内に滞留し易くなり,健康への影響も懸念される。これらのことから局所的かつリアルタイムにCO2濃度を監視できる簡便なセンサが求められている。 本研究で開発する水晶振動子式CO2センサは,水晶振動子電極表面に付着した物質の質量に比例して水晶振動子の周波数が変化することを利用したもの(QCM)で,ngオーダーの質量変化を検出することが可能で,比較的安価に作製でき,使用も簡便である。 平成23年度は,CO2を吸着する感応膜としてアクリロニトリルスチレン(AS)を水晶振動子電極上に修飾してCO2検出部を作製し,このセンサのCO2濃度に対する周波数変化量の再現性,精度,感度等を調べ,感応膜の膜厚と感度の関係も明らかにした。また,大気中のCO2以外の成分であるO2,Ar,He濃度に対しては感度をもたないが,湿度には感度を有することを明らかにした. 平成24年度は,感応膜としてスチレンポリマー(SP)を水晶振動子電極上に修飾したQCMを作製し,このセンサのCO2,O2,Ar,He,湿度に対する感度を調べ,湿度のみに感度を有することを明らかにした.この結果,CO2と湿度に感度をもつASを修飾したQCMの周波数変化量をSPを修飾したQCMの周波数変化量で湿度補正をすることが明らかになり,ASを修飾したQCMとSPを修飾したQCMを組み合わせてセンサとすることにより,CO2濃度センサを実現できることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は,CO2を吸着する感応膜としてASを選定し,これを水晶振動子電極上に修飾してCO2検出部を作製した.このセンサのCO2濃度に対する周波数変化量の再現性,精度,感度等を調べ,感応膜の膜厚と感度の関係も明らかにした。また,大気中のCO2以外の成分であるO2,Ar,He濃度に対しては感度をもたないが,湿度には感度を有することを明らかにした. 平成24年度は,感応膜としてスチレンポリマー(SP)を水晶振動子電極上に修飾したQCMを作製し,このセンサのCO2,O2,Ar,He,湿度に対する感度を調べ,湿度のみに感度を有することを明らかにした.この結果,CO2と湿度に感度をもつASを修飾したQCMの周波数変化量をSPを修飾したQCMの周波数変化量で湿度補正をすることが明らかになり,ASを修飾したQCMとSPを修飾したQCMを組み合わせてセンサとすることにより,CO2濃度センサを実現できることが明らかになった. 交付申請書に記載した「平成23年度実施計画」は,”CO2を吸着する感応膜を開発し,これを水晶振動子に修飾してCO2検出部を作製する.実験装置を構築したうえで,このセンサのCO2濃度に対する再現性,精度,感度等を調べる.また,感応膜の膜厚と感度や時定数の関係も明らかにする.”であるから,平成23年度は概ね順調であった. 交付申請書に記載した「平成24年度以降の実施計画」は,”作製したCO2センサの諸特性をさらに詳細に調べると同時に,実用的なセンサを構築する.”である.平成24年度は,ASを修飾したQCMの諸特性を更に詳細に調べると同時に,SPを修飾したQCMを作製し,これによりASの湿度補正ができることを明らかにした.これらにより,QCMによるCO2センサの実現に一歩近づいた.以上のように概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は,CO2を吸着する感応膜としてASを選定し,これを水晶振動子電極上に修飾してCO2検出部を作製した.このセンサのCO2濃度に対する周波数変化量の再現性,精度,感度等を調べ,感応膜の膜厚と感度の関係も明らかにした。また,大気中のCO2以外の成分であるO2,Ar,He濃度に対しては感度をもたないが,湿度には感度を有することを明らかにした. 平成24年度は,感応膜としてスチレンポリマー(SP)を水晶振動子電極上に修飾したQCMを作製し,このセンサのCO2,O2,Ar,He,湿度に対する感度を調べ,湿度のみに感度を有することを明らかにした.この結果,CO2と湿度に感度をもつASを修飾したQCMの周波数変化量をSPを修飾したQCMの周波数変化量で湿度補正をすることが明らかになり,ASを修飾したQCMとSPを修飾したQCMを組み合わせてセンサとすることにより,CO2濃度センサを実現できることが明らかになった. 平成25年度は,作製したセンサの温度特性を明らかにした上で,温度補正方法を考案し,QCMによるCO2センサを実現させたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度までの科研費の成果を学会発表(校費(研究助成金)による旅費を使用)する中で,他の研究者と意見交換し,上記センサの温度特性も明らかにする必要があることが判明した.この温度補正方法を検討するために時間を要した結果,次年度に研究費を繰り越すこととなった. 作製したセンサの温度特性を明らかにするため,平成25年度は研究費を実験装置の改良,実験に使用する各種ガス,感応膜作製用薬品,CO2センサ試作のための各種部品等の購入,資料収集旅費及び成果発表旅費等に使用する予定である.
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