研究概要 |
平成23年度当初は,従来から使用している直流磁界を備えていないパンケーキ型磁気センサを,試料内部の疲労を評価する際の阻害要因である表皮効果を避けるためにどの程度までの低周波励磁で使用できるかの検証実験を行った。その結果,従来の方式でも疲労評価の対象が低炭素鋼においては,従来の励磁周波数の10分の1程度の10kHz位までは十分に使用できた。この成果は,「M. Oka, T. Yakushiji, Y. Tsuchida, and M. Enokizono, "Fatigue Evaluation of Low Carbon Steel by Means of the Inductance Method Using a Pancake-Type Coil", Proceedings of The 20th MAGDA Conference in Pacific Asia, pp. 450-455, 2011(11).」で発表した。次に,当初,計画書に記述した垂直直流磁界を備えた低周波励磁型磁気センサを開発し予備実験を行ったが,よい結果が得られなかった。そこで,平行直流磁界を備えた低周波励磁型磁気センサを考え製作した。この磁気センサは,試料の裏面に試料内を試料に平行にネオジム磁石による直流磁界が印加されるように設計されている。この直流磁界により試料の見かけの透磁率を小さくし,交流励磁磁界を試料内部に浸透させるものである。現在この磁気センサの評価実験をステンレス鋼や鋼を対象に行っているところである。なお,計測ステーションの納入がメーカの都合で遅れ,この新規計測ステーションを利用した実験は本格的には始まっていない。現状では十分とは言えないが代用の機器を用いて研究を行った。この購入した機器を利用するプログラムやデータ整理の手法を納入以来順次行っている。
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