研究概要 |
平成25年度は,平行直流励磁法とフェライトコア,差動検出コイルを用いた比較的低周波数励磁で感度がよいとされる3連コイル法を組み合わせた手法を用いてさらなる感度の向上や安定度の向上を図る計画を立て研究を遂行した。その中で3連コイル型磁気センサの2種について試作や改良,疲労検出感度や安定度の検証する基礎実験をオーステナイト系ステンレスのSUS316Lを用いて行った。その中のボビン型コイルを3個用いた磁気センサを用いた評価実験の結果を,「岡茂八郎,薬師寺輝敏,榎園正人,“磁気的手法によるオーステナイトステンレス(SUS316L)の片振引張疲労評価”, 第22回MAGDAコンファレンス in 宮崎 電磁現象および電磁力に関するコンファレンス,2013(12)」で発表した。 この科研費によって,代表研究者らはオーステナイト系やフェライト系のステンレス鋼(SUS316LやSUS430など)やSS400等の低炭素鋼を始めとする鉄系構造材の片振り引張疲労の高感度な検出を目指して研究を行ってきた。その結果,疲労が表面に集中しない片振り引張疲労に対してネオジ磁石を用いた平行直流励磁法と組み合わせたパンケーキ型コイルを用いたインダクタンス法を低励磁周波数化し磁性を持つ構造材の疲労評価をよく行うことができ,平行直流励磁法の有効性を示すことができた。また,インダクタンス法への平行直流励磁法の併用は,試料の表面状態の影響が少ないことも明らかにした。さらに,比較的低周波数で感度がよいとされる3連コイル法を実現するためのセンサの試作や改良も行って3連コイル法も鉄系構造材の疲労評価に応用できる可能性を示した。
|