H23年度では,ロボットの分散型適応ロバスト制御系を提案した。ロボットマニピュレータの適応制御系では,各軸聞が複雑に絡み合い,多くのパラメータを推定する必要がある。そこで,軸ごとに局所的情報だけに基づいた適応側を設け,他軸からの干渉を外乱推定機構で推定するという分散型外乱推定機構付適応ロバスト制御系を提案した。その際に,各軸の局所的信号だけに基づいて,他軸からの干渉と外乱推定などを抑え込む非線形減衰項の設計法を解明した。研究成果をジャーナルと国際会議で発表した。 H24年度では,ネットワークで連結されたロボット群の同期制御に関する研究に着手し,研究成果を上げた。ロボット群のうちの一部だけが目標指令値を受けるという状況で,各ロボットが近傍ロボットと情報交換を行いながら,全体の動作が同期して指令値を追従するという分散型ロバスト制御器を提案した。具体的には,ロボットの各軸からの干渉のみならず,ほかのロボットからの,ネットワーク経由の干渉も推定して保証するという方策で,すべてのロボット指令値を知らなくても,同期追従制御を実現した。研究成果をジャーナルと国際会議で発表した。 しかし,H24年度の研究では,ロボット群間の通信が双方向であるという設定であった。H25年度では,単方向通信というより厳しい条件のもとで,ロボットの同期追従制御系を提案し,理論的性能を解明した。研究成果を国際会議に発表した。
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