研究概要 |
(1)定在波抑制制御系の構成と開ループ制御実験:ヒートポンプ用の熱音響コア部を製作し,プライムムーバ用のコア部,両者の間に定在波抑制制御部(スピーカ2個とその両側に圧力センサ2個ずつ)を1組ずつを設置し,塩ビ管でループ状に接続して制御系ハードウェアを組み込んだループ管熱音響冷凍機(管内径約50mm)を構成した.ループ全長を,予め自励発振を確認できたステンレス管の装置(ただしヒートポンプなし)に合わせたが自励発振は生じなかった.原因究明のためまず,一方のスピーカの駆動信号振幅を一定とし,コア前後の正・逆方向の音響パワーの振幅を2センサ法によりリアルタイムで算出・確認しながら,TC→TH方向の音響パワーの振幅が最大となるように他方の振幅および位相を手動調整する開ループ制御実験を行った結果,温度勾配が大きくなるにつれて(TCは約20度,THを摂氏100度,200度,280度と変えた),TC→TH方向の音響パワーが温度勾配なしに対してそれぞれ約1.7,3.0,4.2倍に増幅された.ただし,逆向きの音響パワー振幅を手動調整で0とすることはできなかった(特にTHが280度の場合はTC→TH方向の約8割が残った). (2)発振条件の検討:熱音響コア部単体の周波数応答を測定し,管路の物理モデルを組み合わせることにより,自励発振が生じる/生じないの判定を行った.塩ビ定在波管の装置で発振を確認した条件が正しく発振と判定されること,コア部を逆向きにつけた場合も正しく発振否と判定されることを確認した. (3)実験装置の発振可能性向上:パイレックス製のシリンダとグラファイト製のピストンを,コイルバネで共振周波数が調整されたリニアモータ(市販のスピーカからダンパとコーン紙を取り除いたもの)を接続し,ダンピングの小さなリニアモータを構成した. (4)自励発振時の音場制御可能性の検討(2012年度の改善):目標周波数を各温度勾配毎の共振周波数に一致させた場合を検討した.自動制御連合講演会で報告した.
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