ヒトの筋骨格構造(特に関節構造やアクチュエータ配置)を模倣したロボットハンドやロボットフィンガーを具体的な制御対象とし、ヒトの筋シナジーの生成の仕方をヒントに筋骨格ロボットを制御する新しい手法(シナジー制御法)を確立することが、本研究の最大の目的である。最終年度となる平成25年度は以下の3点の研究を並行実施した。 (1)ハードウェア基盤の挙動の理論解析(筋協調の力学モデリング):ヒトの中手指節関節の構造を模倣して初年度に構築した2本の空気圧アクチュエータで拮抗駆動する「転動関節モデル」の理論解析(筋協調の力学モデリング)を昨年度から継続実施し、実機の挙動との比較・評価を行った。本年度のより詳細なモデル化により、実機の本質的な挙動を説明することに成功した(2014年3月に第19回ロボティクスシンポジアで発表)。 (2)ハードウェア基盤の整備・改良(筋骨格ロボットハンド指先の角度・力センサレス化):本システムの駆動源である空気圧アクチュエータが磁性を持たないことに着目し、ハンドの不動点(掌・手の甲)に取り付けた磁気センサと指先に配置した永久磁石を用いてロボットハンド「指先」の姿勢、触覚のセンサレス化を実現し、関節角度・指先接触力をセンサレスで推定することに成功した(2014年3月に日本機械学会北陸信越支部第51期総会・講演会で発表)。 (3)ソフトウェア基盤の開発・評価(筋骨格ロボットハンドの指先位置制御):ヒトの筋骨格構造を模倣して拮抗配置した4本の空気圧アクチュエータを備える3自由度ロボットフィンガーを制御対象とし、生体ゆらぎを模倣した新しいシナジー制御系を構築した。提案手法を用いて実際にロボットハンドの指先位置制御実験を行い、制御特性を確認した(2014年3月に電子情報通信学会総合大会で発表、2014年5月に日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2014で発表予定)。
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