研究課題/領域番号 |
23560528
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
太田 快人 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30160518)
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キーワード | システム同定法 / グレイボックス同定 / システム変換 |
研究概要 |
今年度は、グレイボックス同定手法とシステム変換法を中心に研究をすすめた。グレイボックス同定に関しては、ロータリー型倒立振子システムの同定問題を取り上げ、振子にとりつけたおもりの位置をパラメータとして、パラメータ変化線形システムとして同定を行う方法を提案した。各固定したパラメータに対して、線形システムとして局所モデルの同定を行い、その後、物理的法則から導いた運動方程式をもとにして、各局所モデルの状態を数値計算を用いて一致させるような同定法を提案した。 一方、システム変換法に基づく方法に関しては、システム変換そのものの性質解明を行った。具体的には、虚軸上に極をもつ不安定系に対して、変換理論が成立するかを考察し、いくつかの仮定のもので、変換理論が成り立つことを示した。これは、積分補償器などを用いた閉ループ同定法を適用するためには、有用な結果になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グレーボックス同定については、マスバネダンパー系の同定問題についての研究は遅れている面があるが、パラメータを含むシステムの局所モデルを求め、それらを物理的な運動方程式などをもとにしてつなぎ合わせる方法は進展した。 システム変換法に関しては、基底の選び方に関する研究は遅れているものの、閉ループ同定に適用するために重要となる、不安定系に対する変換理論を示すことができている。 以上から総合的に判断すると、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、これまでに解明されなかった問題についての考察を続けることにする。グレイボックス同定に関しては、マスバネダンパー系への適用を考察すると同時に、局所モデルをつなぎわせる方法についても考察を行い、運動方程式に不確かさのより大きな系であるツインローター系の同定方法を考察する。 システム変換法については、基底の選び方についての考察をすすめて、システム変換に基づいた同定法の特徴をより詳細に明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでと同様、研究は理論的な考察が中心となるために、学会での資料収集、研究者との討論のために、旅費を主に使用することになる。また学会発表のための諸費用として、学会参加費も必要である。 国際的には、これまで共同研究をすすめてきたミラノ工科大学(イタリア)に、学会参加を兼ねて訪問する計画である。国内では、共同研究をすすめている広島大学などの研究者と国内学会参加あるいは用務を兼ねて訪問する計画である。
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