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2011 年度 実施状況報告書

マルチカーエレベータ群管理制御器の形式手法に基づく開発システムの実現

研究課題

研究課題/領域番号 23560532
研究機関山口大学

研究代表者

山口 真悟  山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00294653)

研究分担者 宮本 俊幸  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00294041)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード形式手法 / モデル化 / 解析・評価 / アルゴリズム / 制御工学 / エージェント
研究概要

マルチカーエレベータシステムの群管理制御器を形式手法に基づいて開発するシステムの実現を目指し、1.エレベータシステムの形式的なモデルの構築、2.エレベータシステムの形式的な仕様記述に取り組んだ。1.エレベータシステムの形式的なモデルの構築:形式手法の一つであるペトリネットを用いてエレベータシステムのモデルを構築した。その特徴は階層化や時間、値が扱えるハイレベル・ペトリネットを用いることにより、大規模で時間依存かつ複雑なエレベータシステムを忠実にモデル化することを可能にした点にある。特にエレベータの標準的な運行法であるセレクティブコレクティブを忠実に表現するよう工夫した。さらにエレベータメーカーの技術者から提供されたデータを参考にして、モデルが実用レベルであることを確認した。2.エレベータシステムの形式的な仕様記述:エレベータシステムの仕様を数学的に記述する方法を開発した。その特徴は仕様記述に時相論理を用いる点にある。これにより時間の経過により値が変化する性質を厳密に扱うことを可能にした。さらに1.で構築したモデルと仕様記述を組み合わせて、エレベータシステムをシミュレーションしたり、モデル検査したりする方法を検討した。開発した方法を省エネルギーに配慮した運行計画やサービスの公平性に関するモデル検査などに適用し、有用性を確かめた。さらにマルチカーエレベータシステムの群管理制御に対する新しいアルゴリズムの提案も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は以下の成果を得た。1.エレベータシステムの形式的なモデルの構築:ハイレベル・ペトリネットを用いてエレベータシステムのモデルを構築した。2.エレベータシステムの形式的な仕様記述:時相論理による仕様記述法を開発した。また具体的な記述をシミュレーションやモデル検査に適用し、その実行可能性を確認した。以上の内容を電子情報通信学会システム数理と応用研究会[1]などで発表した。また国際会議に投稿中である[2]。さらにマルチカーエレベータシステムの群管理制御に対する新しいアルゴリズムを学会誌論文に発表した[3]。主な発表論文[1]石田, 山口, 上田, "CPN Toolsによるシングルカーマルチシャフトエレベータシステムのモデル化法とその応用", 信学技報, vol.111, no.453, pp.41-46, 2012.[2]S. Yamaguchi, N. Ishida, R. Ueda, "Modeling and Model Checking of Single-Car Multi-Shaft Elevator Systems on CPN Tools," (submitted to Proc. ITC-CSCC 2012).[3]A. Valdivielso, T. Miyamoto, "Multicar-Elevator Group Control Algorithm for Interference Prevention and Optimal Call Allocation," IEEE Trans. on Syst., Man, Cybern., Part A, vol.41, no.2, pp.311-322, 2011.

今後の研究の推進方策

平成24年度は、まず平成23年度に取り組んだ2つの課題:1.エレベータシステムのモデルの構築と2.形式的な仕様記述をさらに深化させる。1.については複雑な群管理制御器を対象とし、2.についてはマルチカーエレベーターに特有な仕様を対象とする。平成24年度は、さらに新たな2つの課題:3.群管理制御アルゴリズムの系統的な構築と4.群管理制御器のモデル検査に取り組む。3.については既存アルゴリズムを整理し、再利用可能なアルゴリズム部品を開発する。4.については1.と2.の成果を組み合わせて、エレベータシステムをモデル検査する方法を開発するエレベータシステムのモデル検査はマルチカーエレベータシステムに限らず、一般的なシングルカーエレベータシステムに対しても未開拓な分野である。まずシングルカーエレベータシステムでモデル検査法の確立を目指し、その後、マルチカーエレベータシステムに研究を展開していく計画である。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度にファイルサーバー用PC1台を導入する予定であったが、タイの洪水の影響により年度内に納品されることが難しいことが分かり、平成24年度に延期した。平成24年度は、このファイルサーバー用PC1台以外に開発実験用PC1台を導入する計画である。またモデルの構築やモデル検査などの実験作業に大学院生の補助を受ける。さらに成果発表のために旅費と論文誌別刷費を必要とする。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Multicar-Elevator Group Control Algorithm for Interference Prevention and Optimal Call Allocation2011

    • 著者名/発表者名
      Alex Valdivielso Chian, Toshiyuki Miyamoto
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Systems, Man, Cybernetics

      巻: Part A, vol.41, no.2 ページ: 311–322

    • DOI

      10.1109/TSMCA.2010.2064766

    • 査読あり
  • [学会発表] CPN Toolsによるシングルカーマルチシャフトエレベータシステムのモデル化法とその応用2012

    • 著者名/発表者名
      石田 憲秀, 山口 真悟, 上田 滝平
    • 学会等名
      電子情報通信学会システム数理と応用研究会
    • 発表場所
      JAIST東京キャンパス(東京)
    • 年月日
      2012 – 38
  • [学会発表] 整数計画法を用いたマルチカーエレベータのかご制御と割り当て問題の定式化2012

    • 著者名/発表者名
      峰岸 達矢、宮本 俊幸
    • 学会等名
      2012年電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山市)
    • 年月日
      2012 – 320
  • [学会発表] ワークフローネットの解析問題と解析能力2011

    • 著者名/発表者名
      山口 真悟
    • 学会等名
      2011年電子情報通信学会ソサイエティ大会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2011 – 916
  • [学会発表] Acyclic拡張自由選択ワークフローネットからAcyclic Well-Structuredワークフローネットへリファクタリングするための条件について2011

    • 著者名/発表者名
      孫 伯仲, 山口 真悟
    • 学会等名
      電子情報通信学会システム数理と応用研究会
    • 発表場所
      沖縄県青年会館(那覇市)
    • 年月日
      2011 – 71
  • [学会発表] Acyclic Well-Structuredワークフローネットの可達性判定について2011

    • 著者名/発表者名
      濱野 慎司, 山口 真悟
    • 学会等名
      電子情報通信学会システム数理と応用研究会
    • 発表場所
      山口大学(山口市)
    • 年月日
      2011 – 1118
  • [学会発表] 単純Well-Structuredワークフローネットの諸性質2011

    • 著者名/発表者名
      孫 伯仲, 山口 真悟
    • 学会等名
      電子情報通信学会システム数理と応用研究会
    • 発表場所
      山口大学(山口市)
    • 年月日
      2011 – 1117
  • [学会発表] エレベータシステムのCPN Toolsを用いた省エネルギーに関する一考察2011

    • 著者名/発表者名
      上田 滝平, 石田 憲秀, 山口 真悟
    • 学会等名
      平成23年度電気・情報関連学会中国支部連合大会
    • 発表場所
      広島工業大学(広島市)
    • 年月日
      2011 – 1022

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公開日: 2013-07-10  

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