研究課題
車輪型倒立振子ロボットのモデルベースシステム開発に関して研究を行い、次の研究成果を得た。すなわち、1)搭載するアクチュエータの特性を考慮に入れた、3次元動的モデルの厳密な導出を行った。これまで、倒立振子ロボットのモデルの多くは、前後方向の運動のみを扱う平面上の2次元モデルが多く、3次元に拡張した例もあったものの、アクチュエータの特性を考慮に入れてないものであった。本研究では厳密なモデルの導出手法を示した。2)オンラインシステム同定実験を行い、同定されたモデルから正確な摩擦力推定を行った。ロボットの摩擦力は非線形性が強くモデリングが容易でないが、実装例の多くは粘性摩擦のみを扱ったものや、オフラインでの実験結果に基づくものが多く、走行中にオンラインで推定し、制御に直接用いるものはなかった。3)ロボットを使用する空間を知能化空間として扱い、Kinectセンサを用いたロボットの位置推定をオンラインで行い、いわゆるビジュアルサーボ系を構築した。その構成そのものには新規性はないが、ロボットに搭載した車輪駆動用モータの角度情報とKinectからの位置情報の観測周期が異なること、前者の情報からロボットの位置を算出するとすべりによる推定誤差が含まれることを考慮したマルチレート制御系を設計、および、実装することにより、車輪型倒立振子ロボットに対する高精度な位置・姿勢制御が実現できた。4)制御システムを構築するに当たり、SysMLを用いたシステムモデリングを行い、リアルタイム制御システムとしての体系的なシステム設計を行った。5) 同システムへの適用を想定した適応外乱オブザーバの設計法を提案した。
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International Journal of Advances in Science and Technology (IJAST)
巻: Special Issue ページ: 1-7