研究課題/領域番号 |
23560543
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
魚崎 勝司 福井工業大学, 工学部, 教授 (20029151)
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研究分担者 |
畠中 利治 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (10252884)
金江 春植 福井工業大学, 工学部, 教授 (90274555)
恐神 正博 福井工業大学, 工学部, 准教授 (70298389)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 非線形フィルタ / バイオミメティックス / 進化計算 / パーティクルフィルタ(粒子フィルタ) / パーティクルスウォーム最適化(PSO) / 確率近似 |
研究概要 |
時間的に変化するシステムの状態を,雑音の混入したその観測値をもとに推定する状態推定(フィルタリング)問題はシステム・制御の分野において基本的な問題の一つであり,多くの研究がなされてきた。しかし、システムの状態推移および観測に非線形性が存在したり、観測系に非正規雑音が混入している場合にはその処理に何らかの近似を導入することが必要で、ad hocにさまざまな非線形フィルタが提案されてきている。本研究ではまずこれまでに展開されてきている非線形フィルタについてその基本的概念を近似の概念から整理し、またその特質を比較し、その一部を平成23年度電気関係学会北陸支部連合大会の招待講演として発表した。さらに多数の個体あるいは粒子点に対する評価をもとに、個体を改良していくという共通の性質を有するバイオミメティックスにおける進化的計算、パーティクルスォーム最適化(PSO)と、非線形フィルタにおけるパーティクルフィルタ(粒子フィルタ)あるいは Monte Carlo フィルタ の両者について、両者の融合による新しい非線形フィルタの開発へ向けてその特質の比較検討を行った。一方で、バイオミメティックスに属する進化戦略、パーティクルスォーム最適化について二足歩行ロボットへの応用、多目的最適化への拡張に関する研究を着実に行い、IEEE Congress on Evolutionary Computation (CEC 2011) などで発表した。さらに非線形フィルタとも密接に関連する非線形システム同定についても、呼吸器系の非線形モデリングに関する研究を行い、そこに遺伝的アルゴリズム(GA)を応用し、有効性の検証を行った。その成果は30th Chinese Control Conference (CCC2011)などでも発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ad hoc に提案されてきた非線形フィルタについてその基本的概念の整理ならびに非線形フィルタとの関連性を考慮したバイオミメティックスの特質の整理を終え、新たなパーティクルフィルタの開発に取り掛かっている。一方でパーティクルスォーム最適化や進化戦略などバイオミメティックスの手法に関する研究も着実に行ってきており、その多目的最適化への拡張は、非線形システムのパラメータと状態の同時推定(同定+フィルタリング)へ応用できる可能性もある。さらに実システムへの応用として、呼吸器系の非線形モデリングへの遺伝的アルゴリズムの応用に関する研究も進展しており、従来のアプローチでは得られなかった非線形モデルを得ることができている。これらの研究成果はIEEE CECを始め国内外の学会で、招待講演を含め発表してきている。非線形フィルタの新しいアルゴリズムの開発にやや遅れがあるものの、全体として計画はおおむね順調に進行しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究の延長上のパーティクルフィルタについては進化戦略型パーティクルフィルタおよび進化戦略型ガウス和パーティクルフィルタの収束性の改良に取り組むほか、新しい展開として進化戦略型Unscentedパーティクルフィルタの開発を行う。また 確率近似型非線形フィルタの収束性を改善するために、ゲインの異なる複数の確率近似型フィルタを同時並行的に運用し、それらの推定性能をバイオミメティックス(とくにパーティクルスォーム最適化)の考え方に基づいて評価・統合して適切なゲインを定める新しい確率近似型フィルタの開発を研究分担者(畠中・恐神)とともに行う。なおこの新しい確率近似型フィルタの開発に関係づけて、パーティクルスォーム最適化の概念を非定常システムのフィルタリングへの応用も検討する。さらに多目的最適化へのパーティクルスォーム最適化への展開が進展していることから、非線形システムのパラメータと状態の同時推定(同定+フィルタリング)に関する検討も研究分担者(畠中)と行う。一方、実システムへの応用として研究分担者(金江)と行っている呼吸器系の非線形モデリングにも新しく開発される非線形フィルタの応用の可能性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
非線形フィルタを含めた確率システム関連図書ならびに進化戦略、遺伝的アルゴリズムなどの進化計算ならびにパーティクルスォーム最適化などの最適化関連図書を購入する。また研究計画に関する調査ならびに研究成果発表のための国内外の学会(計測自動制御学会(SICE2012)、インテリジェントシステムシンポジウム(FAN2012)など)に参加するための旅費および学会参加登録料として使用する。さらに研究分担者(畠中)との研究打ち合わせを2-3回行うための旅費を計上している。なお研究成果を学会誌等に発表するための投稿料、研究遂行のためのソフトウエア(MATLAB)の更新料も含んでいる。
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