研究課題/領域番号 |
23560546
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
沼尾 達弥 茨城大学, 工学部, 教授 (90164649)
|
研究分担者 |
川端 祐司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (00224840)
原田 隆郎 茨城大学, 工学部, 准教授 (00241745)
|
キーワード | 中性子ラジオグラフィ / セメント硬化体 / 含有水量 / CT画像 / 体積変化 |
研究概要 |
平成24年度の研究では、前年度までの成果を踏まえ、引き続き時々刻々変化する試験体内部の含水量を定量評価を行うと共に、画像解析上で問題となる試験体周辺部画像がボケる現象を非並行線の影響にまとめその詳細を検討した。その結果、ボケの補正には表面近傍の画像を幾何学的に補正することで取り除くことが出来ることを見出した。次に、中性子散乱による中心部分で透過強度が弱まる現象を、一様に起こる散乱現象として捉え、解析的にその影響を考察・評価し補正方法を検討した。また、カメラのレンズによる空間的歪みについても、格子状試験体を作製してその補正方法の検討を行い、レンズの歪曲補正式にまとめ提案した。 これらの結果から、ボケや散乱・歪曲の影響を総合的に考察し、コンバータからの距離を8cm程度とすることで、十分な精度を持つ画像として取り込むことを見出した。 更に、水分逸散に伴う乾燥収縮の影響を実験的に行い、水分移動と体積変化の関係を実験的に捉え、その関係を定量的に評価し、内部応力の生成とひび割れ発生のメカニズムに間するデータを得ることが出来た。 以上の24年度の研究成果は、本研究の目的である、「セメント硬化体内部の水分移動に係わる諸係数をより精度良く追求すると共に、含有湿度と体積変化の関係を明らかにし、ひび割れ抑制と制御技術の確立、及び劣化診断への展開を図る」ための研究手法を確立できたことを示している。これらの成果により、中性子ラジオグラフィ法によって、重量測定を行うこと無く、セメント硬化体内部の水分量を精度良く定量評価できる事になり、クリープなど含有水分量に係わる他の様々な現象に応用できるなど、重要な成果を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画調書に記載した実験計画どおりに研究内容を全て実施し、当初の予定通りの成果を得ることができた。更に、今まで議論になっていない実験装置毎に存在する撮影画像の特徴(クセ)を評価しその補正方法を見出した。 この成果は、他の研究における中性子ラジオグラフィ利用にとっても有用な成果となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に従い、中性子ラジオグラフィ試験を継続するると共に、実験結果を基にした水分移動に係わる諸係数や湿度分布状態の解析的検討を行うと共に、ひび割れ発生に伴う劣化損傷を評価し、成果として報告書を取りまとめる。 また、実験の遂行にあたって、作業者全員が法令「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」及び「茨城大学放射線障害予防規程」に従うとともに、実験作業中は、京都大学原子炉実験所の規則を遵守し、安全かつ体調管理を怠らないことに注意を払う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験実施のための治具等の材料費(消耗品)、京都大学原子炉実験所との相互移動のための旅費(調査・研究旅費)、および研究協力者や実験補助者への謝金や解析のノウハウを提供頂く費用(人件費・謝金)などへの使用を計画している。
|