研究課題/領域番号 |
23560547
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
藤原 浩己 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30323314)
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研究分担者 |
丸岡 正知 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50323316)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | クリンカーフリー / 産業副産物 / フライアッシュ / 高炉スラグ微粉末 / 硬練りコンクリート |
研究概要 |
◎各種材料の種類および材料構成と強度性状の関係 一般的にコンクリート材料として利用されている高炉スラグ微粉末およびフライアッシュを主材料とし、これら種類および構成割合が圧縮強度発現性に及ぼす影響について検討した。併せて、アルカリ刺激材料の種類とその影響について検討した。その結果、材料の種類および構成割合の影響により圧縮強度発現性が大きく異なることがわかった。特に、フライアッシュについては、JISにおけるII種規格品よりも生産時に省エネルギーであり低品質品とされる分級工程を省略したフライアッシュ原粉を利用した場合に、良好な強度発現性を示す条件を見いだした。また、一般のセメント・コンクリートにおいて水和反応が概ね終了する条件である60度7日間水中養生の条件では、フライアッシュの混和割合が大きいほど圧縮強度発現性は向上することがわかった。また、セメントを使用しないため可能となる高温加熱による初期強度発現性の改善方法を検討した。その結果、供試体成型後直ちに70度2時間の加熱により、粉体材料の構成割合次第では材齢1日で3~4N/mm2以上の曲げ強度を発現することがわかった。この場合、フライアッシュよりも高炉スラグ微粉末の混合割合が大きいほど、初期強度発現性が改善することがわかった。さらなる強度発現性改善を目指し、加温時間を3.5時間と長くしたが、前述の加温時間2時間の場合より曲げ強度は低下した。これは、アルカリ刺激材料として使用した石灰系膨張材の影響で、温度上昇中では順次進行する水和反応による生成物が、高温環境に長時間置かれると、徐々に分解されると考えられ、この結果、硬化体中の組織が脆弱化し強度低下する現象が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H23年度の予算配分時期が遅くなったこと、および計画段階での予算計画と実配分額の差により、計画当初に購入予定であった、耐久性試験に必要となる恒温恒湿試験器の機種選定、購入手続きに遅れが生じ、現在までに、耐久性に関するまとまった試験結果が出ていない。材料構成と強度発現性の検討において、十分な検討ができていないため、フレッシュ性状に関する検討が不十分となっていること。
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今後の研究の推進方策 |
◎材料構成と強度発現性 フライアッシュ原粉、火山性天然ポゾラン、廃石膏ボード粉、生コンスラッジなどジュライより低品質な材料を組合せ、これらの材料構成と各種強度発現性との関係を把握・検討する。◎材料構成とフレッシュ性状との関係 低品質な材料の組合せが圧縮強度発現性およびフレッシュ性状への影響について検討する。フレッシュ性状としては、コンクリート製品として流し込み製品をターゲットとした場合に適切な性状を得ることが難しいため、硬練りコンクリートを主体とした製品への適用を主眼に置くこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画段階で材料費・消耗品を主として研究費を計上している。これに準じ、材料費、型枠などの消耗品および今年度末までの成果発表を目的とした論文執筆などに用いる予定である。
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