研究課題/領域番号 |
23560547
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
藤原 浩己 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30323314)
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研究分担者 |
丸岡 正知 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50323316)
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キーワード | クリンカーフリ- / 産業副産物 / フライアッシュ / 高炉スラグ微粉末 / 硬練りコンクリート / アルカリ刺激材 / 生コンスラッジ粉 |
研究概要 |
◎各種材料の種類および材料構成と圧縮強度の関係の関係 1.主材料となるポゾラン物質および潜在水硬性を有する材料の組合せについて 前年度に引き続き,主材料となるポゾラン物質の選定を中心に,材料構成割合と圧縮強度発現性について検討を試みた.特に,精製処理過程において,できる限り少ないエネルギー負荷により精製されると考えられたフライアッシュのJIS IV種品については,実際の石炭火力発電所で副産されるのもの入手を試みたが,一部の発電所では出荷対応できるが,製品としての需要は,そのほとんどがフライアッシュJIS II種相当品に限られ,製造工程もこれに対応した設備で行われているため,現実的にはII種相当品以外の製品を安定的に入手することはなかなか困難であることがわかった.また,分級処理をしていないフライアッシュ原粉については,そのほとんどがセメント工場へ出荷され,セメント原料に有用に利用されていることも確認出来た.このため,入手し易いポゾラン材料としてはフライアッシュのJIS II種品相当が適切であることが確認出来た. 2.アルカリ刺激材についての検討 昨年度以前から,本テーマにおいてアルカリ刺激材は高い反応性を期待して高比表面積を有する高粉末度の消石灰を利用してきた.しかし,本材料は精製工程で多くのエネルギー負荷を要するため,より低負荷となる材料を選定することとした.候補として,生コン工場起源のスラッジケーキを乾燥・粉砕したスラッジ粉,建築解体現場起源の廃石膏ボードを乾燥・粉砕した廃石膏ボード粉,入手性の高いセメントを比較対象とした.その結果,廃石膏ボード粉は,自身のアルカリ度が低くフライアッシュと高炉スラグ微粉末を主材料とした粉体構成では硬化せず不適当であった.スラッジ粉は,その処法次第で未水和セメント残留量に影響し,この程度がアルカリ刺激材として適用可否に影響することがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
強度発現性を評価軸として,主材料とアルカリ刺激材の材料選定作業は概ね終了したが,詳細な材料構成と材料設計方法が確立していない.また,高単位粉体量かつ低水結合材比でなければ十分な強度発現性が見込めないため,この影響がフレッシュコンクリート性状に影響する.このフレッシュ性状については,ポルトランドセメントを主な結合材とした同一水結合材比の一般的な高強度コンクリートと比較して大幅に粘度が増大し,ワーカビリティーに悪影響を示し,場合によってはダイラタンシー性状を示すものもあったため,これらを改善する方法の探査に手間取っている状況である.
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今後の研究の推進方策 |
◎材料構成とフレッシュ性状との関係 低品質な材料の組合せが圧縮強度発現性およびフレッシュ性状への影響について検討する.硬練りコンクリート製品の製造に適したフレッシュ性状を得られるような骨材を含めた材料構成を検討する. ◎材料構成と強度発現性 社会状況などを十分に考慮し,材料の入手性等を検討した上で,本研究テーマへの適用可能性を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
計画段階で材料費・消耗品を主として研究費を計上している。 これに準じ、材料費、型枠などの消耗品および今年度末までの成果発表を目的とした論文執筆などに用いる予定である。
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