研究課題/領域番号 |
23560547
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
藤原 浩己 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30323314)
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研究分担者 |
丸岡 正知 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50323316)
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キーワード | 環境負荷低減 / クリンカーフリー / ダイラタンシー / アルカリ刺激材 |
研究概要 |
アルカリ刺激材の影響評価 フレッシュ性状:各種アルカリ刺激材の混和によりダイラタンシー性状を示しやすく、練混ぜ時にミキサの混練羽根の回転による作用力程度でも見かけの粘度が増大した結果、型枠内に充填可能な流動性を呈するために必要な練混ぜ時間が長くなる傾向を示した。 硬化性状:水粉体比を20%程度としても,各種アルカリ刺激材を10%混和した場合,標準養生材齢28日において圧縮強度が60N/mm2を超えるものはなかったが,セメントをアルカリ刺激材として10%混和した場合,圧縮強度は60N/mm2を超えることが分かった.一方,材齢1日では,各種アルカリ刺激材を添加したものの圧縮強度が大きく,セメントを添加した場合の2~3倍程度の圧縮強度を示した. 耐久性:乾燥収縮ひずみは乾燥材齢182日において平均300μ程度であり,比較的小さい.自己収縮ひずみは,粉末度の高い消石灰を混和するとひずみが大きくなり,1号消石灰では若材齢時に自己収縮が大きくなるが,その後収縮ひずみが小さくなるなど特異な変化を示した.促進中性化試験では,圧縮強度が60N/mm2程度発現している条件でも,一般的な普通コンクリート(圧縮強度40N/mm2程度)と同程度の中性化深さを示す配合がある.耐凍害性は,十分な圧縮強度および連行空気量が確保できていないため一様に低く,圧縮強度が70N/mm2を示した配合であっても,早期に劣化した. 性状改善:フライアッシュ混和割合を25%に低減し,連行空気による性状改善を検討した.フレッシュ性状は,いずれもダイラタンシー性状を示し,ワーカビリティは低い.耐凍害性については,空気量が4~5%,凍結融解試験開始時の圧縮強度が60N/mm2程度であっても,十分な凍結融解抵抗性を得るに至らなかった.硬化組織の細孔量分布・累積細孔量なども検討したが,この現象に対する明確な原因は見いだせなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は「クリンカーフリーコンクリートの耐久性能の評価および改善」について検討を進める予定であった.元々は高強度発現性を求め,コンクリート硬化体組織が緻密になることで凍結融解抵抗性や中性化抵抗性を向上させることを目指していたため,コンクリートにエントレインドエアを導入しなくても凍結融解抵抗性を確保できるものと考えていた.しかし,今回検討対象としたアルカリ刺激材による硬化性状が芳しくなく,連行空気量が小さくても十分な凍結融解抵抗性を確保できるとされる圧縮強度60N/mm2に達するものが少なかった.そこで,連行空気量を5%程度とし,フライアッシュ使用割合を減じ,アルカリ刺激材混和割合を10%から15%に増大することで,強度発現性を確保することを目指して検討を行った.しかし,一般的に十分な凍結融解抵抗性を有するとされる凍結融解繰り返し300サイクルに至る前にいずれの条件の硬化体も破壊し,十分な凍結融解抵抗性を付与できる条件を見いだすことができなかった.硬化体組織中の空隙量の影響も一因と考え,細孔量・細孔径分布も測定したが,明確な結論に至っていない. 以上から,現状では,耐久性向上について明確な改善効果が得られていないため.「やや遅れている」とした.
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今後の研究の推進方策 |
上記理由にある連行空気導入により,副次的にフレッシュ性状の改善が見られ,顕著なダイラタンシー性状を示していた材料構成のコンクリートにおいてやや扱いやすさが向上する傾向を示した.これについて,詳細な検討を進め,フレッシュ性状の改善に努める. また,前述の耐久性能,特に凍結融解抵抗性向上のために必要となる条件について,要因抽出を試み,性状改善に足がかりとする. 最終年度に予定している実大規模の部材・構造物作製のために必要となる条件・性状について実現可能性を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
交付時に旅費として計上した経費をについて,該当年度の金額ではまかなえなかったため,別の経費から充当したことにより,旅費としては余剰を生じた.別途,消耗品などの物品費として使用した. 消耗品などの物品費を中心に使用する.
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