近年高度経済成長期に建造された多くの橋梁が更新時期を迎えつつあり,既設橋梁の維持管理の重要性が高まっている.また,事後保全から予防保全へとシフトすることで,ライフサイクルコストを抑え橋梁を長寿命化させる努力もなされている.このような背景の下で,より効率的に維持管理を行なっていくために,既設橋梁を3次元プロダクトモデルで表現する方法がある.このメリットとしては,膨大な2次元図面が1つの3次元モデルに置き換わることだけでなく,点検や補修工事に関わる様々なデータをモデルに関連付けることで,維持管理に関する情報を一元的に管理できることが挙げられる.これまでに提案されている橋梁の3次元プロダクトモデルの1つである新IFC-BRIDGEでは,かなり詳細に3次元橋梁モデルを作成することができる.しかしながら,膨大な数の既設橋梁のモデルを作成するには,このような既存のプロダクトモデルは,詳細度が高いために維持管理には必ずしも必要ないレベルであると考えられる. そこで,既設橋梁を3次元プロダクトモデルで表現する際の最適な詳細度を決定することが求められる.本研究では,最適な詳細度を求めるために必要となるモデルの詳細度案の設定およびモデル作成コストに関する基礎的な検討を行なった. 次に,3次元モデルデータに時間軸を加えて,4次元モデルとなるようにシステム化を実施し,さらに,点検データと補修工事のデータを貯蔵できるようなシステムを開発した. 本研究により,橋梁などの維持管理を目的とした3次元プロダクトモデルの最適詳細度を求める手法を明らかにするとともに,4次元化したモデルの点検・補修などの履歴管理に用いることができることを示した.
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